2004年01月21日

「風車」-第一号(一九七八年五月)

「風車」-第一号(一九七八年五月)

 めまぐるしい世の中の動きのなかで、すっかり忘れ去られたかたちになったが、カレン・シルクウッドの名は、一時新聞誌上をにぎわせた。

 彼女はアメリカの核燃料会社カーマギー社の技術者で、労組の活動家だった。彼女が高速道路で"交通事故死"をとげたのは、四年前のことだった。彼女は、カーマギー社のずさんな放射線作業を告発する文書をもって新聞記者に会いに行く途中だった。"事故"の現場からは文書がなくなっており、他殺の疑いが濃厚となった。一時はFBIも調査を始めたが、いつの間にかうやむやになって現在にいたっている。

 ところが最近のアメリカの科学誌によれば、当時カーマギー社がウエスチング・ハウス社に納めていた高速増殖炉用の燃料棒に欠陥品の疑いが出てきた。とすれば、彼女はずさんな品質管理や試験結果のねつ造の実情を知っていたために抹殺されたのかもしれないという。

 彼女の死とそれにつきまとう底しれぬ無気味さは、決して過去のものではない。原子力社会は無数のカレンを生み出すのではないだろうか。第二、第三のカレンを日本で生み出してはならない。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 15:28