「風車」-第一九号(一九七九年一一月)
東京での反原子力週間の企画の一つに、ルポライターの堀江邦夫さんの話を聞く小さな集まりがあった。
堀江さんは、被曝労働者の実態を知るために自ら下請作業員として美浜、福島、敦賀の各原発を渡り歩いたとのことで、たいへん貴重な体験談を聞くことができた。ここに紹介しておきたいのは、しかし、そうした原発内での話ではない。
原発で働く労働者の被曝データをコンピュータ管理する「放射線従事者中央登録センター」なる機関が、昨年一月、財団法人放射線影響協会の下で発足した。それまで電力会社などによってバラバラに行なわれていたのを、労働者に背番号をつけて中央で一元管理しようとするもので、すでに十万人を超す労働者が登録されている。
ところで、堀江さんの話というのは、彼が、自分の放射線管理手帳の被曝歴の欄で、内部被曝の項が空欄になっていたため、センターに尋ねに行ったときのことだ。センターの職員は、「プライバシーの侵害になるから教えられない」と答えたという。プライバシーとは電力会社のプライバシーのことらしい。とにかく、センターが労働者の「健康と安全のため」のものでないのは確かなようだ。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:16