2004年01月21日

「風車」-第二四号(一九八〇年四月)

「風車」-第二四号(一九八〇年四月)

 ルイス・キャロルの有名な『不思議の国のアリス』に、「猫のない笑い」というくだりがある。木の上の猫の姿が消え失せて、笑いだけが残った場面は、テニエルの絵で有名だ。「笑いのない猫」をもじった、キャロル一流の遊びだというようなことを読んだ記憶もある。

 この間もキャロルを読んでいて思った。彼の流儀で言えば、原子力は「マンションのないトイレ」なのではないかと。「トイレのないマンションかと思っていたら、実はトイレだけだった、ということにならないか。もっとも、そう言ったらすぐに、下水道もないからトイレにもならんよ、という声もあったが。

 原産会議の森一久氏と対談する機会があった。「日本の濃縮や再処理の技術が軍事転用できるのはあたりまえのこと」と、ことも無げに言い、だから「公開の制限」を検討しているという。しかし、「軍事利用と平和利用は区別できる」と言いふらして、「あたりまえのこと」を認めてこなかったのが推進側だ。認めざるを得なくなったら、とたんに「公開の制限」ときた。「平和のない核利用」と言い出すのも時間の問題か。

 設立総会からマスコミをシャットアウトして悪名高い「日本原燃サービス」に行って驚いた。サービスどころか、あるのは警備だけ。いかにも「下水道のないトイレ」を「サービス」する会社らしい。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:19