2004年01月21日

「風車」-第三九号(一九八一年七月)

「風車」-第三九号(一九八一年七月)

 上欄で紹介したアメリカの技術評価局の核戦争の影響報告は、かなり徹底したものだが、ひとつだけすっぽり抜け落ちたことがある。それは原子力施設が攻撃されたときの放射能流出に関する影響評価だ。

 それもそのはず、原子力施設はこの種の攻撃には、全くのお手あげだからだ。アメリカの原子力委員会は、原子力産業の負担を軽減するために、かつてごていねいに「原子力施設は軍事攻撃に対して特に備えていなくてもよい」と通達まで出している。

 しかし、通常兵器による原子力施設への攻撃は、核戦争と同じ効果をもつ。この古くからあった懸念は、イスラエルの暴挙によってとたんに現実の問題となった。

 原子炉は厚い格納容器で守られている。という意見もあるが、それもあやしい。仮に格納容器が破壊を免れても、冷却系や電源が破壊されればメルトダウンは避けられない。廃棄物置場や再処理工場が破壊されたら、放射能は一気にまき散らされよう。

 仮に東海再処理工場がフル稼働中に破壊され、その廃液がまき散らされたら、という仮定で死の灰のひろがりを推定したのが図3だ。これはあくまで大ざっぱな推定で、推定値に大きな幅があることは断わっておく。しかし、核施設と戦争があるかぎり、我々はいつも死と隣り合わせであることに間違いはなかろう。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:24