2004年01月21日

「風車」-第四六号(一九八二年二月)

「風車」-第四六号(一九八二年二月)

 自らの死体を焼いた死の灰の中から甦るという古代エジプトの伝説上の不死鳥フェニックス。それにスーパーがついたのだから、さぞかし不死身かと思いきや、ロケット砲五発でとたんに大騒ぎとなった。

 といってこのニュースをはやしたててはいられない。もし運転中の高速増殖炉だったら、もしプルトニウム燃料の搬入作業中だったら……と考えると、心底恐怖すべきことだ。求められてある所に書いたことなのだが、もし、もしと想定を立てているうちに、どんどん憂うつなことが現実化する。その度に「もし」の内容は一層悲惨なものとなり、それでも自分が生きていることにかろうじての慰めを見出す。

「もし」の絶えざる後退とともに、「プルトニウム帝国」は少しずつ完成していくのだろうか。イスラエルのイラク原子炉爆撃といい、今回のスーパーフェニックス砲撃といい、思わぬところから新たな核の恐怖がもたらされる。事態の進行は、悲観論者の予測をも上まわっているのではないだろうか。

 アメリカで出された「二〇〇〇年の地球」という報告でも、高度の文明社会ほど、思わぬ災害や天災にもろいと指摘されていた。ユンクの言葉が想起される。「近代技術のうえに成り立つ専制政治は、昔の権力支配よりも強力であると同時にまたもろさをそなえている。最終的には水のほうが、石よりも強いであろう」。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:27