「風車」-第五四号(一九八二年一〇月)
大ロンドン市議会は、ロンドンにある三つの核シェルターを閉鎖する決議を採択した。同時に、イギリス政府が同市に押しつけている核攻撃からの民間防衛演習への参加を拒否することを決めたという。
この夏、神田の書店の店頭に、西ドイツ製のシェルターが展示されているので、見に行った。核爆発の爆心地から四百メートル以遠ならば、爆発の過圧に耐えられるというシェルターは、見たところ、あっけないほどのコンクリートの塊り、東京の雑踏の中に人目も惹かずに横たわっていた。
こんなもので、いったい何が守れるというのだろうか。千五百万円(工事費込み)を払ってこのシェルターを買いこみ、いざという時にその穴ぐらの中にひそみ、自分だけは生きのびようとするお金持ちたちの姿を想像しただけで、吐き気を催してしまった。
そんなもので身を守ろうとする思想をはっきり拒否し、核から身を守るためには核を廃絶するしかない、と宣言したのが、今回のロンドンの決議だろう。
大ロンドン市議会は、六月に非核都市宣言を行なっている。この宣言も、大方の諸都市の抽象的な決議と異なり、原子炉の新設拒否や民間防衛義務の解除などを含む、なかなか実質的なものだ。核のない社会への歩み出しがロンドンから世界の都市へ波及することを願う。(高木)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:32