「風車」-第五九号(一九八三年三月)
まもなくスリーマイル島原発事故四周年を……と書きだして、穏やかな陽ざしに春を感じる。そして、突如として、あたりまえのことに初めて気づく。かのTMI事故は、春のただ中のことだった、と。
「アメリカでは、春が来ても自然は黙りこくっている。そんな町や村がいっぱいある。いったいなぜなのか」とレイチェル・カーソンは、名著『沈黙の春』の中で問うた。今から二十年も前のことだ。「沈黙の春」のメッセージを正しく受け止めて、ふたたび「萌えいずる春の日」を取り返そうというのがカーソンの思いだった。
私たちは「TMIの春」からほんとうに正しくメッセージを読みとっただろうか。この四年間にどれだけのことができたか、反省は多く残るが、無為ではなかったと思いたい。
日本の電力会社はTMI2号炉の損傷炉心の回収作業に資金援助するという。これは、我々の電気料金を注ぎこんでも、アメリカの原子力産業の崩壊を防ぎたい、ということだ。アメリカとの共倒れを惧れる露骨なやり方だ。だが彼らが学んだものが、そんなに姑息な「国際協力」でしかないとしたら、その前途も目にみえている。
私たちはゆっくりとしかし確かに春に向かっている、と信じたい。(高木)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:34