2004年01月21日

「風車」-第六一号(一九八三年五月)

「風車」-第六一号(一九八三年五月)

 二五年も前になるが、軍事炉ウィンズケール1号は、火災事故を起こした。大量のヨウ素が放出され、汚染ミルクが回収されるなど、史上有数の事故となった。しかしそれでも「死んだ人はいない」というのが、例によって推進派の宣伝文句となった。

 遅ればせながら、最近になってイギリスの放射線防護審議会が事故評価の報告書を出した。それによれば、この事故は放射性ヨウ素で二六〇人に甲状腺ガンを発生させ、うち一三人を死亡させたはずだ、という。今さら言われてもとり返しはつかないし、その数も甘すぎるだろう。だが、死者があったことの追認の意味は重い。

 ところが、もっと大変な大事故だった、という説が、英科学誌に掲載され、波紋を呼んでいる。事故時には、軍事用に生産中であったポロニウム210も大量に放出されたはずだが、今までその影響は無視されてきた。その評価をすると死者は千人を越えたと考えられ、白血病死亡率の増加がそれを裏づけている、というのだ。

 説得力のある説だが、厳密な評価は当方としても少し留保したい。しかし、四半世紀も前の事故の死者数が十何人だったのか、何千人だったのかと、いま議論しなくてはならないとは!そのこと自体が、原発が私たちに押しつける不幸のひとつに違いない。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:35