「風車」-第六八号(一九八三年一一月)
「原子力白書」が出た。例によって官僚の作文で、言葉に魂が入っていない。だからそこから何か大きな示唆を受けるといった類のものではない。しかし読みようによっては、書いている連中の下心が察せられたりもする。
昨年の白書は、電力過剰のなかで原発の発電コストの安さが妙に強調されていたが、今年はすでにかげりが生じた(4面参照)。「他の電源に比して劣らないと考えられる」とは、後退した表現だ。
一方で、原子力産業についての記述をみると、従業員数は五万八千人、売上高は八千七百五十億円(八一年度)になり、「エアコンやテレビの売上高にほぼ匹敵している」と述べている。つまり、原子力産業はすでにいっぱしの産業で、労働者も多い。とにかく維持しなくては、と言いたいらしい。
白書のそんな言い方と呼応するようなニュースが伝わっている。中部地方電力関連産業労組連は、去る十月二十三日、名古屋市に中部電力労組員など五千人を集めて、"原発推進"のデモを行なった。この種の大規模な行動はこれが史上初めてのことだという(十月二十五日付け電気新聞)。「雇用のために兵器産業を」「雇用のために原発を」という合唱が少なからぬ労働者をまきこんで始まっている。そんな時代にどうたち向かうか。(高木)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:44