「風車」-第七四号(一九八四年五月)
いつ観たのか、どんな映画だったのか、すっかり忘れてしまっているのだが、コンピュータのご託宣に頼る宗教国家を描いた映画があった。神殿の中央に祭壇ならぬコンピュータが鎮座ましましていたのだけをはっきり覚えている。
急にそんなことを思い出したのは、原研が「緊急時環境線量情報予測システム」なるコンピュータ・システムを開発した、という記事に接したからである。うたい文句によれば、「原発の大事故の場合の避難誘導の参考とする」ために、「五十キロ四方の風下住民の受ける線量が鉄道や道路などの地形とともに事故後十分足らずのうちにブラウン管に映し出される」というのである。
コンピュータ信仰がここまで来たかと言いたくなる話である。本誌の読者の皆さんだったら、そんな机上の計算などおよそ実態を反映しないことはすぐにもわかるだろう。そんなものに命を預けた形で避難をさせられるようでは、もはや邪教の支配と同じことではないだろうか。
記憶が正しければ、かの映画ではコンピュータは最後に火を噴いて、裏で操っていた犯罪集団は化けの皮をはがされて自滅した。コンピュータ占いを制度化するようでは、わが科学技術庁の自滅も間近いかもしれぬ。(高木)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:48