2004年01月21日

「風車」-第八四号(一九八五年三月)

「風車」-第八四号(一九八五年三月)

 それはアメリカの科学雑誌に掲載された、目立たぬ研究論文だった。何げなく目がとまって読み進むと、たいへん気になる内容を含んでいた。

 昨年の四月に「岩手沖にキノコ雲発生」というニュースが、新聞の一面を飾ったことを覚えているだろうか。岩手沖三百キロの上空で、民間旅客機のパイロットが何人も、巨大なキノコ雲を目撃した。核爆発ではないか、と強く疑われたが、自衛隊の飛行機の採集したチリに放射能は発見されず、核爆発説は一応否定された形で、うやむやになったが、筆者にはずっと気になっていた。

 ハワイにもそのことを気にして、原因究明をしていた研究者がいた。それがこの論文である。兵器の爆発以外の可能性として海底火山の噴火との関連が検討されたが、キノコ雲との関連は否定された。論文の結論にいう。「この謎の雲は、未知の自然現象によったのか、人工の大気圏内爆発のせいなのか、どちらかであったろう」。

 つまり、人工的な爆発であった可能性が棄てきれないというのだ。研究者たちはそれ以上は言っていないのだが、ミステリーは深まった感じである。しかし、世間はこの事件を忘れ去っている。五年前の「南アの核実験」の疑惑も未だに霧の中である。そこのところが、とめどなくこわい。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:51