「風車」-第八八号(一九八五年七月)
原発を地域開発の起爆剤に―と誘致に走ろうとする自治体が少なからずあるという。だが"原発先進地"の実情は、そんな甘い夢とはほど遠い。福島県がさきごろまとめた報告書『原子力行政の現状』の訴えに、まずは耳を傾けてみよう。
同県の原発立地町では、確かに「財政規模は飛躍的に拡大し、このために公共施設の整備は著しく進ん」だ。しかし建設のピークをすぎた今、財政規模が急激に縮小する一方で「公共施設の維持管理費の負担増に対応しなければならず」「一時的に活況を呈していた地域経済も大きな痛手を受けることになる」。
結局、原発の開発効果は、「商工業基盤の弱さといった地域の本質的な停帯要因は何ら変えることなく、一時的なものでしかなかったという部分が大きい」として福島県は、国の救済を求めている。これが実情だ。
そんな実情を知らずしてか、衰えを見せない自治体側の誘致熱に、電源設備が過剰で困っている電力会社では、とうとう開発不要論まで持ち出して水を掛けるのに必死だ。五月二十九日付の東京新聞で東京電力の小牧常務いわく「開発はその地域の地縁血縁をズタズタにすることもあるんです。もちろん所得が増えるのは結構なことですが、そこそこの開発があればいいのでは」。
これにつけ加えるべき言葉が何かあるだろうか。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:52