2004年01月21日

「風車」-第九〇号(一九八五年九月)

「風車」-第九〇号(一九八五年九月)

 日航機の大事故で、いやがうえにも事故というものを考えさせられる。

 チャールズ・ペロウというアメリカのエール大学の社会学の教授が『ノーマル・アクシデント』という興味深い本を書いている。化学プラント、空、海の事故から、原発や宇宙の事故まで、今日の危険度の大きいテクノロジーを総まくりしている。

 ノーマル・アクシデントというとらえ方自体が面白い。ノーマルとは正常(通常)のことで、アクシデントとは大異常事態だ。ところがペロウによれば、いまや巨大科学技術の事故は、「通常事故」というべきだと言う。TMIの事故が典型のように、ひとつひとつは小さなことが重なることで大事故が発生するのが、現代の事故の典型パターン。単一の原因を求めてもはっきりしない。システムの全体が事故を生みだす仕組みを内蔵しているとしか、言いようがない。まさに事故そのものがノーマルなのだという。

 ペロウによれば、飛行機事故は目立つが、事故による改良がまだしも可能で、各種の事故のなかでは、まだ許される。最も許し難いのは原発で、彼の解析では原発はあらゆる指標が最悪で、放棄するしか対策がないという。原発事故は「ノーマル事故」だから、これからまだいくらでも起こるぞ、と気味の悪い予言をしている。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:53