「風車」-第九一号(一九八五年一〇月)
原発の建設地や計画地には、県や電力会社のPR館がある。最近は建物も飾りつけも、金のかかったものが多い。
あちこちでよくそんなPR館に入る機会があり、この九月にも茨城と福井で、いくつかのPR館に立ち寄った。いつもながら、他に見物客はゼロまたは二、三人。事務室に入って、「静かでいいですね」と、所長さんに声をかけたら、皮肉と思ったか、「さっきまで百人ほどの団体がいたんですよ」という答が返ってきた。
PR館の所長さんは定年間近といった感じで、話し込んでみると、けっこう本音をのぞかせもする。あるPR館では、「もう新しいところに立地をするというのは無理ですね」といった話も聞いた。
もっともそこは卸の電力会社だから、新しく原発をつくっても電気が売れるか、との想いがあるのかもしれない。先ごろやっと引き取り先問題に一応の解決を見た電源開発の松浦火力の例では、今年初めには電力各社の受電拒否声明があったりした。「電気が余っている点では我々のところも同じ」(小林関西電力社長)、「どだい、需要もない発電所を建設することの方がおかしい」(松谷中国電力社長)というのが、受電を強要される電力会社の言い分だ。
しかし「施設計画に見合った需要をいかに確保していくかの方が急を要する課題」(八月十三日付日刊工業新聞)なのに、なお発電所を建てようとしているのは、さて誰なのか。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:53