2004年01月21日

「風車」-第九八号(一九八六年五月)

「風車」-第九八号(一九八六年五月)

「甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌して体の全般的物質代謝を高め、成長や発生などを促進する。ヨウ素約十ミリグラムを含む」(『生物学辞典』)。放射性ヨウ素もこの甲状腺に集まってきて、機能低下やガンの原因となる。

 キエフからの日本人の帰国者が、六万ピコキュリーものヨウ素を甲状腺にとりこんでいた。いったい現地の人びとはどうなっているのかと、心配が募る。旅行者の様子だと、少し離れた住民は何も知らされず、強い汚染下に生きているらしい。まったく政治権力はおそろしい。

 ソ連のことばかりも言っていられない。五月四日、岡山で水道水にヨウ素が検出された、と報道された。ところが五日には、科学技術庁が介入し、「水道水にも放射性ヨウ素」のショッキングな報道は、訂正された。しかし六日、岡山県環境保健センターは、「やっぱりヨウ素を確認」と対抗した。

 国民の安全を守るべき政府が、データ隠しにまわっている。今さらのことではないが、こういう事態になるとつくづく恐ろしい。キエフからの帰国者の、頭髪や衣服の汚染なども相当なものだが、「軽微な汚染」「健康に害なし」が、科技庁の発表だ。

 ヨーロッパに電話してみたら、どの国も似ている。権力者たちが「危い」と言い出す頃はすでに手遅れだと、西ドイツのHも言っていた。今ほど国際的ネットワークの必要なときはない。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:56