「風車」-第一〇三号(一九八六年一〇月)
宮内庁の職員と名乗る人物から、わが事務所に電話が入った。チェルノブイリ原発事故による日本の農作物の汚染の危険度を知りたいという。
科学技術庁からデータをもらい、説明は受けたのだが、よくわからないので―ということだった。つい適当に答えて済ませてしまって、後で大阪のKさんから、東京の人はダメだねえ、と叱られた。そういうときは、すぐにサンプルを持って来て下さい、と答えるべきなのだ。
自然食品ばかりを食べている象徴一族の食卓にはこれだけの放射能が、と発表できる好機を、みすみす逃がしてしまった。が、それはそれとして、科学技術庁の「安全宣言」なるものが、政府内ですらおよそ信用されていないことは興味深い。
もう一つ、おもしろいエピソードを紹介しておこう。こちらは実体験でなく、人から聞いた話なのだが、或る原発批判グループが開いたソ連事故シンポジウムに東京電力の副社長が、自ら出席していたらしい。表向きの「日本の原発は別」発言とは裏腹に、それだけ彼らは真険なのである。
『原子力工業』などの専門誌も、「原発事故を軽く考えようとする空気をなくしていくことが重要」と主張している。といって、すぐに原子力開発が止まるなどとは考えられないが、大きな流れは、やはり変わってきていると言ってよいだろう。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:58