「風車」-第一〇五号(一九八六年一二月)
『月刊警察』の十一月号で、警察庁警備課の小山田潔災害対策官が、原子力災害に対する警察の考え方を述べている。その要点を紹介しておこう。
まず原子力災害に当たっての警察活動の目的は「周辺住民の被害(被ばく)を軽減するとともに、周辺住民の心理的動揺及び混乱(パニック)を防止する」こととされる。特に後段に眼目があるのだろう。そのためか、避難誘導や交通規制などの活動の事前の訓練が必要としながらも、「原子力災害対策を前面に押し出した訓練は社会的影響があるので、その実施にあたっては慎重を要する」とつけ加えるのを忘れない。
気になるのは、「原子力災害の特殊性から警察独自で判断できないものがある」と言う一方で、災害対策の中心活動は警察が担うことを宣言し、「現地災害対策本部に警察の意見を強力に反映していくことが不可欠」などとしている点だ。避難などの指示も、国の緊急技術助言組織の助言などに基づき対策本部が行なうとされているが、「状況によっては、警察がその指示を行う」という。
もしも警察的発想が原子力災害時に表面化したら、むしろ、いっそうの混乱は避け難い。核物質防護にからめつつ原子力の分野での警察の権限拡大が策されていることと合わせ、警戒が必要だ。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月21日 17:59