2004年01月22日

「風車」-第一一〇号(一九八七年五月)

「風車」-第一一〇号(一九八七年五月)

 この数年間に行なわれたフランスの原発の制御棒挿入テストでは、七つの原発で制御棒がうまく入らなかったらしい。そしてそのうち、一九八三年のトリカスタン原発など三つの例では、なんと最後まで原因が不明だったという。身の毛もよだつ話ではないか。

 アルゼンチンのエンバルセ原発では、一九八三年に二次冷却系ポンプが故障で停止し、弁の故障から非常ポンプも機能しなかった。あせった運転員はマニュアルを無視して余熱除去系ポンプを稼働させ、かえって危機を招いた。蒸気漏れの続く弁を運転員が閉めることに成功し、あわや大惨事を逸れたのは、三時間後のことだった。

 西ドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル』が、こんな未発表事故例を数多く紹介している。IAEA(国際原子力機関)が集約した各国原発の事故情報二五〇のうち四八を同誌が入手したが、その四七までは、これまで公表されていなかったものだという。

 こんな事故のリストを前にすると、私たちが毎日ぐっすりと眠れるのは、それらの事実を知らされていないからだと思えてくる。IAEAは、世界の人々の安眠のために大きな貢献をしているのかもしれぬ。もっともこのままでは、彼らは人々の永眠にこそ道を開きそうだが。(高木)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:07