2004年01月22日

「風車」-第一一一号(一九八七年六月)

「風車」-第一一一号(一九八七年六月)

 原子力安全委に提出されたソ連原発事故調査特別委の最終報告書は、その場で直ちに了承されたという。あらかじめ出すべき結論を与えた上でつくられた特別委であるとはいえ、腑に落ちない話だ。

 それほどまでして、誰もが納得しうる結論だと誇張したかったのだろうか。しかし、報告書の中味は、特別委の委員の間でも、大いに異論が出て然るべきものと見える。

 委員の一人である佐藤一男氏は、ある雑誌の座談会で、反応度投入事象(暴走事故)評価指針は「たぶん見直すことになるでしょう」と語っていた。同じく委員の一人、宮永一郎氏は、防災対策の見直しを示唆する発言をしていた。しかし報告書は、何らの見直しも必要ない、と結論づけている。

「最高の権威」を以て任ずる特別委であり原子力安全委であればなおさらに、委員の間に異論のあることは、むしろ当然ではないか。意見の表示を義務づけられた最高裁の裁判官と同様に、各委員には、いまからでも自らの考えを、ぜひ堂々と明らかにしてもらいたいものだ。

 それにしても、報告書には、原発の推進者なりの責任感が微塵もない。委員の欺波正諠氏は、マスコミ向けの対応が「一段落したところで本当の検討をしたら」と、通産省の事故検討会で発言したらしいが、それは一体いつ始まるのだろう。(西尾)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:08