「風車」-第一一五号(一九八七年一〇月)
原子力安全委員会が、過酷事故時の格納容器の健全性の研究を、新たな研究計画に盛り込むという。
チェルノブイリ原発事故の調査報告書では、原子炉設計の際に基準とした想定事故を超える過酷事故に際しても、格納容器は「かなりの耐力をもつ」としたが、本当のところはどうなのかを研究しようというわけだ。格納容器は事故時の環境への放射能放出の最後の障壁なのだから、安全委員会としても、さぞ心配なことだろう。
右の事故調査報告書では、日本にある原発では暴走事故が起こらないかに言っていた。しかし、やはり不安は隠しようもなく、原子力工学試験センターで、今秋から七年計画の炉心内ボイド(蒸気泡)挙動試験がはじめられる。
炉心の水を沸騰させないよう圧力をかけているのでボイドは発生しないはずの加圧水型炉でも、異常時には発生の可能性ありとして試験を行なうそうだ。動燃事業団もまた来年度から、新型転換炉の過酷事故時の安全性研究を行なうという。
そんなに心配なら、現に動いている原発の運転管理は、さだめし慎重に行なっているだろう―と思うと、あにはからんや、本紙の毎号の記事に明らかなように、経済性優先の乱暴な運転管理が罷り通っているのだから、奇ッ怪だ。
原発を動かしつづけることの矛盾ここにきわまれり。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:09