「風車」-第一三四号(一九八九年五月)
日本の研究用原子炉の照射済み燃料がアメリカで抗議デモの洗礼を受けた。原研大洗研究所の材料試験炉JMTRで燃やされたものである。
JMTRの燃料は米国産で、照射後はアメリカに返されることが、古い契約で定められている。そこで毎年、燃料交換のたびにアメリカに送られていた。それがなぜ、今回、抗議の対象になったのか。
それは、これまでは直接アメリカに、一般の貨物船で運ばれていて、知らぬ間に輸送が行なわれていたからだ。ところが今回は英核燃料公社が使用済み燃料専用の輸送船を使って、英国経由で運ぶことになり、同公社が正直に発表してしまったために、大騒ぎとなった。
抗議のグループが懸念するのは、照射済み燃料から取り出された核物質が、法に違反して核兵器に転用されることではない。サバンナリバーの軍用炉の燃料として、トリチウムの生産に一役買うのでは、との疑いだ。
正直なところ、そんなことは現実にはありそうになく思える。といって、JMTRや他の日本の原子炉の照射済み燃料の行く方に無頓着であってよいということには、ならないだろう。それを教えてくれた海の向こうの仲間たちに多謝。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:23