2004年01月22日

「風車」-第一五四号(一九九一年一月)

「風車」-第一五四号(一九九一年一月)

 正月は冥土の旅の一里塚──と、ひねくれ者の俳人は詠んだ。いまは正月ごとに年をとることもなくなったが、正月であれ誕生日であれ、年をとるのに変わりはない。

 原発だって年をとる。日本の原発も、東海原発は満二十四歳に達して昨年には「廃炉推進チーム」が日本原電の社内につくられた。七〇年代初期に動き出した原発も、次々、二十年という節目を迎え、老朽化の問題がいよいよ目につき出している。

 ところが原子力産業側は、寿命延長などという。米原子力規制委員会は昨年七月、最長で六十年までの延長を認める考えを打ち出した。日本でも、電力中央研究所や原子力研究所などで延長の研究がすすめられている。日本の場合には運転期間の定めがないから、法令上はいくらでも延長が可能である。

 しかしこれも、新しい原発がつくれないなかで原子力産業を維持する苦肉の策。原子力産業そのものの老朽化を意味していると言ってよいかもしれない。実際、アメリカでも日本でも、原子力工学科に入学する学生はめっきり減り、教官側も若返りがなく老齢化しているとか。寿命延長といっても、すでに先は見えていよう。

 人間にとっては年をとるのも必ずしも悪いことではないが、原子力産業としては亀の甲より年の功とはいかないようだ。(西尾)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:34