「風車」-第一五七号(一九九一年四月)
チェルノブイリ原発の事故から、五年目を迎えようとしている。電力・原子力産業側では広報担当者の調査団をソ連に送り、事故の影響を報ずるマスコミに対抗しようと躍起だとか。
とはいえ、それは、しょせん無駄な努力でしかなさそうだ。大正海上火災では四月一日から、外航貨物の保険について放射能汚染は免責とした(同社の資料しか手元にないが、他社も同様だろう)。危険評価のプロが、チェルノブイリの事故は「今日に至るまで長期かつ予想外の広範囲にわたり放射能汚染等の被害を及ぼし続けて」いるとして、外航貨物の放射能汚染を「算定不可能な巨大リスク」と評価した、というのである。
右の決定は、昨年十月、英国海上保険市場が放射能汚染免責の協会約款を制定したことによる。海上保険以外ではすでに免責扱いになっていたが、従来は、輸送中のリスクまでは考えていなかった。それがチェルノブイリで認識を新たにしたという次第。
原子力と保険の問題の詳細は、本号と次号の「反原発講座」で池野高理さんに論じていただいているのをご参照下さい。さらに興味のおありの方は、同氏著の『保険社会』(技術と人間)をどうぞ。
それにしても、「算定不可能な巨大リスク」を抱えた産業がなお存続しているとは!(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:35