「風車」-第一六四号(一九九一年一一月)
台風十九号の影響で、青森県産のリンゴは予定収穫量の七割以上が落果してしまった。手塩にかけて育てたリンゴが「さあ、これから出荷!」というときにやられてしまったのだ。
農家が受けた経済的な打撃を少しでも救えればと、「落果リンゴを買おう」という呼びかけがひろがった。しかし、倒木などの被害は、約六百万本のうち五十六万七千本にもおよび回復に五年から十年はかかるとみられ、生産者たちはいま「出稼ぎ」「離農」に追い込まれている。
上関原発の建設に反対している山口県の祝島も、百年に一度という被害を受けた。停電、電話の不通が長く続き、道路が崩れてしまった。十分ほどで行けた畑に二時間もかかったり、船を使って入るしかないところもある。
ビワの木は、海寄りのものは塩害で、まるで火あぶりにでもあったように立ち枯れて、葉をボロボロ落とした。山の上の方の木は風でなぎ倒されてしまった。みかんも全滅。出稼ぎに行かなくても島で生きていけるようにと始めたビワ茶やビワの実の産直も当分できないと、島の人たちは嘆いている。
農民が農業で生きていけない現実。今回の災害で農業離れに拍車がかかることが心配だ。核燃や原発の建設・計画地の厳しい現実を、都会に住むもののひとりとしてしっかり受けとめたい。(渡辺)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:37