2004年01月22日

「風車」-第一七〇号(一九九二年五月)

「風車」-第一七〇号(一九九二年五月)

 高速増殖炉から増殖抜きの高速炉へ、という動きはすでに八〇年代の中頃から生まれていた。それに逆らいつづけてきたのが、日本だ。

 ところが、四月二十日、動力炉・核燃料開発事業団の石渡鷹雄理事長が、外国特派員協会との記者会見で「高速炉への移行」を表明、こっそり軌道修正がはかられていることを認めた。いわく「プルトニウムを増やす技術があれば、減らすこともできる。時代の要請によってどちらの方向へも向けられる」。

 二十一日付の電気新聞はこれを「夢の炉はマルチ原発?」と評したが、正しくは「二枚舌原発」とでも呼ぶべきだろうか。そういえば、新型転換炉については一足早く、「軽水炉よりプルトニウムが余計に生まれる」とされていた宣伝文句が「軽水炉よりプルトニウムを余計に燃やせる」というものに変わっていた。科学技術庁内では「ゴミ焼却炉」と名づけたそうだ。

 高速炉も、「夢の炉実はゴミ焼却炉」の正体をあらわにした。プルトニウムを減らすのが時代の要請だと言うのなら、消却するよりまずプルトニウムを取り出さなければよい。再処理をやめるべきことは、言をまたない。

 高速増殖炉によってウランを六十倍に有効利用できるなどという与太話が聞けなくなると、原子力の"夢"もずいぶん色褪せたものになりそうだ。(西尾)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:40