「風車」-第一七四号(一九九二年九月)
「誠にありがたく感謝に耐えない」。白糠漁協が東通原発計画に伴う漁業補償を受け入れたのに際しての東京電力・那須翔社長のコメントである。
二十数年間も工作をつづけてきた
"立地マン"の苦労を思えば、当然の言葉ではある。「実は、まとまらなくてもよかった」なんて言ったら、社員が浮かばれない。
しかし、原発建設が現実のものとなると、東京電力としては、やっかいな問題を抱えざるをえないのも確かだ。六百キロメートルから七百キロメートルに及ぼうという超々高圧送電線を新たに敷説しなくてはならないという問題である。
八二年九月十六日づけの日本工業新聞では、その費用が二~三兆円とされている。十年の間の値上がりを考えずとも、たいへん大きな額だと言えるだろう。
そこで、とりあえずは東北電力の一基だけ建設するとの話になっていた。それなら送電線の新設は必要ない。が、原発自体の経済性は悪くなる。東北電力のといっても、建設費の一部を東京電力が負担し応分の電力を引き取るわけで、これまた、正直なところ、大歓迎とはいかない。
東通は結局原発以外の"何か"に化けるのでは、とのウワサの根拠はここにある。漁業補償協定後の記者会見で、東北電力の明間輝行社長は「他の目的に利用する計画は一切ない」と断言したというのだが……。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:42