2004年01月22日

「風車」-第一八九号(一九九三年一二月)

「風車」-第一八九号(一九九三年一二月)

 十月二十五日に開かれた動燃事業団の第二十六回報告と講演の会で、石渡鷹雄理事長が「高速炉の開発はプルトニウムの増殖から消滅へ」と方向転換を宣言して話題となった。しかし、それより、後から講演に立った動力炉開発推進本部の高橋克郎次長のほうが、はるかに興味深い。

 石渡理事長の発言は、すでに何度か言われてきたことだ。それでもいつかはウランが底をつき、プルトニウムの出番がくる―かもしれない、と高橋次長は言う。それは、まあ、いい。だから早期に高速増殖炉をというのも、よしとしよう。

 興味深いのは、その後だ。高橋次長の言を予稿集から引用する(Puはプルトニウムのこと)。「そして、成熟期には、Puの増殖比を調整し、人類が他のエネルギー源に乗り換える頃に、地球上からPuをなくす、即ち消滅させることが必要である」。

 はじめ消滅なか増殖その次はまた消滅と、そんな器用なことが可能かどうかはともかく、ならばはじめから他のエネルギー源に乗り換える準備を着実にすすめるほうが、ずっと穏やかで責任ある道筋だろう。

『原子力白書』で「原子力発電を進めていく以上、原子炉の中で生成するプルトニウムの利用は避けて通れない問題です」と述べている江田五月原子力委員長=科技庁長官は、そのことをご存じなのであろうか。(西尾)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:53