「風車」-第一九七号(一九九四年八月)
プルトニウム239の純度が九九・七パーセントという超兵器級プルトニウムの密輸事件が明らかになった。押収されたのは六グラムだが、他に百二十~百五十キログラムものプルトニウムが闇市場に出回っているという。
謎だらけの事件の発端は五月十日のことだ。ニセ札づくりを捜査中のドイツの警察が、シュツットガルト空港で逮捕した実業家の自宅車庫で六十キログラムほどの金属粉の入った鉛容器を見つけた。当初は軽視されていたこの金属粉が、水銀だのアンチモンだので水増しされたプルトニウムだったのである。
純度が高いのは、遠心分離法で濃縮をしたものだかららしい。そこで、特別な核弾頭を開発中の研究所が出所なのでは、などと推測されている。ロシアからマフィアの手で持ち出され、ブルガリア、ギリシャを経て密輸されたとか、取り引き相手はイラク在住だとか、スイスで五~六ヵ所が捜索されたが、プルトニウムは発見されなかったとか、KGBや東欧の武器商社が関係しているとかと、なかなかもって賑やかだ。
大量のプルトニウムが実際に流出しているかどうかは不明なものの、遅かれ早かれ起こって不思議のない事態だとも言える。解体核兵器から取り出されるプルトニウムを、ロシアでは商品化しようとしているが、そんなことをしていれば核流出の危険は大きくなるばかりだろう。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:55