「風車」-第二〇七号(一九九五年六月)
カナダのトロント大学が、原子力に関係する講座を今期限りで廃止すると聞いた。修士・博士課程だけは残すというが、いずれ、それもなくなりそうだ。
学生の原子力離れは、アメリカでは原子力学科をもつ大学の数、原子力学科に入る学生の数が激減していることが、九〇年に既に報告されていた。日本の状況について、本紙でも九二年七月号で、現役の学生にインタビューをしている。
東大の原子力工学科は、九三年四月からシステム量子工学科に改名した。しかし、嫌われるものの原子力の文字をなくした成果で学生が増えたとの話は、聞こえてこない。
同学科の鈴木篤之教授が『エネルギーいんふぉめいしょん』四月号で語っているところでは、原子力への夢は捨てきれないご様子。半導体だの超電導だの量子レベルでも技術がいろいろな分野で使われているのだから、「エネルギーの分野においてもこういう量子時代の技術がいずれは主流を占めるのではないか」と期待し、「量子の時代の一番上り詰めたところに原子核のエネルギーがある」のだと力説する。これでは「原子」じゃなくて「量子」だと言われてもねというのが、学生の側の正直な受け止め方だろう。
「太陽エネルギーも核融合ですから、実は量子時代のエネルギー」と言ってみたところで、システム量子工学科も先は見えている。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:59