2004年01月22日

「風車」-第二〇九号(一九九五年八月)

「風車」-第二〇九号(一九九五年八月)

 昨年六月に原子力委員会が決定した新原子力開発利用長期計画に、早くも破綻が生じた。大間ATR計画がおじゃんになったことだ。

 新長期計画は、高速増殖炉の開発のしくじりから、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を軽水炉およびATRで利用することに力点を移し、余剰プルトニウムは出さないと強調した。そのATRが、たちまち転けたのである。

 軽水炉でもMOX燃料の利用も、喜んで受け入れようとする地元自治体はどこにもなく、電力会社自身がなお及び腰。燃料製造の見込みすら立っていない。MOX燃料装荷の時期も基数も、すでに長期計画からの後退は確実となった。

 利用が遅れれば、プルトニウムからのアメリシウムの再分離といったことまで必要になり、ただでさえ高いMOX燃料の製造コストをますます引き上げる。電力会社はいよいよ浮き足立つ。プルトニウムの余剰はふくらむなかりだ。

 大間ATR計画の後釜にはABWRを建てる、ふつうの軽水炉ではMOX燃料の装荷は三分の一が限度だがABWRなら全炉心への装荷が可能で、ATRよりももっとプルトニウムを減らせる―と電事連は説明しているが、単なる辻つま合わせであって、本音でないのは誰の目にも瞭然だろう。

 再処理をやめずに余剰プルトニウムを減らす手品のタネはない。(西尾)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 00:59