2004年01月22日

「風車」-第二一九号(一九九六年六月)

「風車」-第二一九号(一九九六年六月)

 現代美術の登竜門「現代日本美術展」の今年の大賞が、福井市の小林栄治さんの立体作品「囚われた科学技術の文明」に決まった。写真で見るに、籠の鳥ならぬ籠の「もんじゅ」である。

 美術の世界にまで事故の衝撃が顔を出す一方、美浜町の観光ポスターからは「原発が消された」。水晶浜の海水浴場を宣伝するポスターのなかに使われた写真で、美浜原発の姿がきれいに削られたのだ。

「原発だからでなく、人造物なので、自然の海を強調するためには、ないほうがよいと思った」というのが、美浜町の商工観光課長氏の言いわけ。とはいえ、地元の誰もが、原発のマイナス・イメージを嫌ったものを受けとめたようだ。

「これまでのようなエネルギー必要論や、地域振興だけで原子力を推進する時代は終わった」と、福井県の石井佳治県民生活部長は、五月三日付の福井新聞で語っている。地域振興どころでないのは、右の話からも明らかだろう。とすればなおのこと、国や電力会社の言いなりになるわけにはいかない。

 その歯止めが、新潟県巻町で行なわれようとしている住民投票であり、福井県が求める「国民合意」である。国民合意とは、もちろん、国の政策に国民が合意することではない。「国民の主張をどう政策に反映するか」なのだと、石井部長は説明している。住民・国民の責任も重い。(西尾)

Posted by 編集部 at 2004年01月22日 01:03