「風車」-第二二二号(一九九六年九月)
都市問題解決団主催の「都市交通シンポジウム」で、こんな話を聞いた。九五年度の日本政府の地球温暖化防止行動計画執行額は約十一兆円とされるが、うち八兆五千億円が道路建設費、五千億円が原子力利用促進費である……。
残りが本来の温暖化防止費用、かどうかも相当に怪しい。それはさておき、道路建設は交通渋滞を緩和し、燃費の向上に寄与するから炭酸ガスの放出抑制になるなんて、まさに火をもって火を救うの類だろう。道路建設は車の数を増やして炭酸ガスやその他の公害物質の放出を増大させ、しかも再び渋滞に行き着くことは明らかだ。
シンポジウムでは、車の排熱や道路の建設・舗装による土壌からの水分蒸発の減少がクーラー需要を押し上げて、発電に伴う炭酸ガスなどの放出を促すことも指摘されていた。車の製造やガソリン・軽油の精製にかかわる電力の使用を考えれば、車は「動く原発」であるとは上岡直見さんの言である。
原発がやはり、温暖化防止には水をもって水を救うの例であることは、いまさら弁ずるまでもない(八九年一月号、九五年六月号「反原発講座」参照)。それにしても呆れたのは、七月十九日付の電気新聞トップ記事だ。原発の定期検査を短縮して利用率を上げ、温暖化防止の「決め手」にするとか。
かくして温暖化は進むばかり──でよいのか!(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 01:05