「風車」-第二三六号(一九九七年一一月)
高速増殖炉懇談会(F懇)が、「高速増殖炉開発の在り方」と題する報告書案をまとめた。上の記事にあるように、無責任なお墨付きで、かつ珍妙なシロモノである。
八月一日に動燃改革検討委員会が出した報告書が高速増殖炉開発の意義を高らかにうたいあげていたのに引き比べ、肝腎のF懇の報告書案には、「将来の原子力ひいては非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢」という控え目な記述があるのみ。実用化の展望は、何ら示されていない。かくてはならじと、高速炉万歳の「補足意見」が、委員の一人である秋元勇巳・三菱マテリアル社長によって付け加えられた(4面参照)。
この意見が報告書案そのものに採用されなかったのは、高速増殖炉開発の中止を求める立場での「少数意見」を書いている吉岡斉・九州大学教授と真っ向から衝突したから―だけでは、なさそうだ。当初の人選からして開発推進派が多数なのは明らかなのに、報告書案では「多数意見」ということのみを理由に結論を導いているのだから。実用化の展望を欠く以上、秋元氏の意見は、現在の軽水炉の欠陥を暴き立てる意味しかもたない。それこそ多数派の賛成が得られなかったゆえんだろう。
秋元説に立てば「やがて行き詰まってしまう」ことが自明な原子力に、一体いつまでしがみついていこうというのか。(西尾)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 01:09