「風車」-第二六九号(二〇〇〇年八月)
七月一日付の南海日日新聞(愛媛県八幡浜市)に「原発の町、伊方町にはなぜ町職員応募少ないの」と見出しのついた記事が載りました。
就職難の中、ふつうなら人気の高い町職員の応募者が、伊方原発の地元の愛媛県伊方町では、採用定員二人に対して三人のみだったというのです。隣りの保内町では三人に対して二十五人、八幡浜市では七人に対して三十六人と、「隣接の市町での高い人気と高倍率の応募に対して、原発の町として財政力が高い事を誇っているはずの同町の職員募集に、わずか一人オーバーという不人気ぶり」とか。なるほど「不思議な事」(中元清吉伊方町長)です。
大学から原子力と名前のつく学部・学科がなくなりつつあることは、よく知られていました。原子力の名を隠しても学生は集まらず、また、卒業後も原子力産業に就職する学生は少ないといいます。六月二十三日付の朝日新聞にも、「ほぼ全員が商社や情報関連産業などに就職するか、大学院に進学した」と、東京大学原子力工学科改めシステム量子工学科の卒業生への取材記事がありました。
「あえて沈む船に乗ろうとは思わなかった」という卒業生の言葉からすれば、「原発の町」も同じに見えるのかもしれません。増設の見返りにつぎこまれる“地域振興費”も、しょせん一過性と、誰の目にも自明なはずなのです……(N)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 17:39