「風車」-第二九八号(二〇〇三年一月)
高速増殖炉「もんじゅ」を動かせば、原子力船「むつ」の二の舞いになる--といった言い方をすることがある。この場合、言うまでもなく「むつ」は失敗の象徴である。
ところが、たとえば『原子力白書』を見るなら「むつ」は「実験航海を成功裏に完了した」らしい。その成果を生かして原子力船が実用化したわけでもなく、むしろ実用化計画は事実上は雲散霧消してしまっていても、彼らの間では「むつ」の開発は成功なのである。
とすれば、いまなぜむりをして、「もんじゅ」を動かそうとするのかがわかる。事故で止まったままなら失敗だが、ともかくも一度動かせば成功に化けるのだ。十二月六日付の福井新聞によれば、「もんじゅ」は運転再開後五年で、運転を継続するかどうかの判断がなされることになるのだという。五年どころか二年でも動かせばいいのだ、との話すら聞こえてくる。
その成果を生かして高速増殖炉の実用化の目途がつくわけでもなく、むしろ実用化計画は頓挫してしまっても、なおかつ彼らの間では「もんじゅ」の開発に成功ということになるのだろう。六ヶ所再処理工場も、運転を開始さえすれば成功で、その後、現実に即して再処理を抑制するのは失敗ではないのだ。原子力船「むつ」の二の舞いは、その意味で彼らにとって既定の方針なのかもしれない。(N)
Posted by 編集部 at 2004年01月22日 17:46