2005年01月14日

悔しさをバネに希望を力に-六ヶ所再処理工場は必ず止める(座談会)

悔しさをバネに希望を力に-六ヶ所再処理工場は必ず止める(座談会)

『はんげんぱつ新聞』322号(2005年1月)掲載

菊川慶子(六ヶ所村、農業)
哘 清悦(天間林村、農業)
鹿内 博(青森市、青森県議)
山田清彦(三沢市議、本紙編集委員)

■青森でなく東京で決めた

 山田 今日が12月18日。明後日の20日には六ヶ所再処理工場に劣化ウランが搬入され、21日からウラン試験が強行開始されようとしています

 菊川 すごく悔しい。私たちの力不足というか、今まで十数年の運動をやってきて、最後の山場で崩されたという思いです。

 鹿内 いや、最後じゃないですよ。もう2山も3山もあると思う。事故が起きたら終わりだけど、そうさせずに止める山場がきっとある。

 哘 試験を始めたにしろ、もっと議論を高めて、少しでも早い段階で止める方向にもっていければいいですね。

 菊川 悔しさを止める力に変えないと。

 哘 手続き上で一番問題だと思うのは、「国民の理解を、県民の理解を」というのであれば、理解されたかどうか確認をする必要があるでしょうということです。使用済み燃料プールの水漏れのときにも、八戸会場の県主催の説明会で最後に質問に立って「会場の皆さん、今日の説明を聞いて理解できましたか? 理解できた人は手を挙げて下さい」って聞いたら、誰一人手が挙がらない。
 県が県民の理解度を確認しないというのは、確認するとまずい答が出てくるのが見えてるからです。

 山田 隣接市町村長からも慎重な意見が相次いだというのも、それぞれに背景がある。日本原燃にすごく不信感があるんです。本当に民意を汲んでいれば今、絶対に動かせる状況じゃないってことは、彼らもわかっていると思う。そこがキーになるのではないでしょうか。
 県もひどいけど、新原子力長期計画の策定会議の進め方も納得できませんね。再処理政策の継続だけを先に決めてしまった。

 菊川 スケジュールが先にあって、いろいろな手続きを進めていくだけとしか見えませんでした。

 鹿内 ウラン試験ゴーのスイッチを、青森でなく東京で押したわけだよね。メンバーの人選からして問題があったし、プルトニウムの需給計画も第二再処理工場の計画も、ないない尽くし。すべて先送りして、ただただ六ヶ所再処理工場を動かしたいという。
 そこにこそ青森県民の意思が反映されるべきなのに、県民の意見も国民の意見も反映されないまま、スイッチが押されてしまった。

■地雷の上に家を建てたいか

 菊川 とりあえずの結論としてはそうなってしまいましたが、アイリーン・スミスさんたちが策定会議の委員に働きかけて、いろんな疑問をもつ委員が少し出てきています。あきらめずに働きかけていけば、中間取りまとめじゃない最後の結論の前に、改めての議論ができるのでは。

 山田 その間にウラン試験でたくさんトラブルが出て大変だということになったら、結論は変わるかもしれない。トラブルの度に情報を逐一流していけば、委員にも責任があるわけだから。

 菊川 でも、日本原燃の側では、試験なんだから当たり前という開き直りがありますよね。トラブルがあってこそ正しい操業ができるそうです。

 鹿内 だけど、ウラン試験で起きたことが仮に小さなトラブルでも、同じことが使用済み燃料を実際に使うアクティブ試験で起きたら深刻だという場合もある。そうしたあたりを訴えていく山場が、やはりあると思う。

 ウラン試験のトラブルそのものに確実に対応しながら、アクテイブ試験の危険性を訴えて、その前に止めるという運動が必要でしょう。今まで以上に大変だけど。

 山田 私は、原燃のほうが困っていると思う。ここまで強行して、年始めから「やあ、トラブルで止まりましたか」とは言えないですよ。それは県だって同じです。

 哘 風評被害もありますし。農業者としてとても心配なのは、消費者の受け止め方なんですね。無農薬というので買ってくれているお客さんに、「ウラン試験が始まるけど、今まで通り買ってくれますか」って質問をしたら、二人の方から「それだったらお断わりします」と答えてきました。
 日本原燃の言い方としては「あなたがそういうふうに騒ぐので風評被害が広がる」って。でも「あなた方が説明しているように国民の理解を得ながら進めるというのをちゃんとやられていれば、こちらが騒いでも誰も買わないということはないでしょ」と、自分は答えています。
 農業者の立場で、この再処理工場とはと考えると、家で言えば土台というより、敷地なんだろうと思う。で、その敷地の中に、たとえば地雷が埋まっているのがわかりつつ、家を建てたいかという話なんです。

■長い目で見たら続くはずがない

 哘 反対している人が一部だという言い方をよくされるけど、推進している人こそ一部じゃないのかな。県のアンケートの結果でも8割以上の人が不安を感じているのに、「反対」と声を出さない人は推進のほうに数えちゃう。

 菊川 六ヶ所村の中でも、反対派は確かに少数ですけど、推進している人っていうのもまた少数です。大多数の人たちが無関心というところに問題がある。年配の人にはあきらめが見られる。若い人は始めから無関心。結婚すると、村内に勤め先があるのに周辺の市や町に出てしまう。でも、それはただ便利だから。潜在的には不安があるのでしょうが、そういう人たちにどう働きかけたらいいのか。

 山田 六ヶ所村も、今までは建設の仕事があったけど、これからはなくなる。あっても被曝作業ですよね。

 菊川 村の中で再処理工場の操業を急いでほしいと言っているのは、クリーニング屋さんとかです。放射性物質の取り扱いなんかお金をかけて教育してお給料を払って、操業が延びている間、ただ待機させているんですから。

 鹿内 仮に操業に入っても、東海の再処理工場がそうだったように事故って1年2年動かないとなれば、クリーニング屋さんも倒産だよね。

 菊川 「公には言えないけど、最終処分場でも何でもいいから、とにかく仕事がほしい」と言っている人までいます。本当に長い目で見たら続くはずがないとはわかっている。経済的な裏付けで私たちが商工会の人たちに信用を得られれば、考え直す余地は十分にあるんです。

■個々の運動を全体の力に

 菊川 国民的な議論が全然ないというところが問題なのですけど、とりあえず村の中で議論を起こすように働きかけをしようって考えています。六ヶ所村の商工会青年部の人たちと、私や哘さんも入って5人が反対派で「一緒に原子力を考える会」というのをつくっているんです。青年部とは反対の立場ですけど、この中で議論を起こそうと。それと、チューリップの栽培をしていますが、運動の中で夢を与える植物づくりを広げて、六ヶ所村にいろんな人たちの関心を集めたい。

 鹿内 六ヶ所村の良さ、青森県の良さを表に出せば出すほど、再処理工場が危険なものだってことがよくわかると思うんだよね。私たちの目的は施設をなくすことだけではなくて、地域を豊かな良い地域にすることなんですね。

 哘 そのときに「安心して暮らす」というのはどうなんだ、ということですよ。

 山田 原発とか再処理工場とかの上に成り立つ安心で良い生活はない。それが既にはっきり自治体の考えにも出てきているのが、福島県とか、茨城県、東海村とかでしょう。
 ところで我々は今まで、六ヶ所村の再処理を中心とした核燃料サイクル施設とか、むつ市の使用済み燃料「中間」貯蔵施設とかばかりに目を向けてきたんですが、24日から東通原発に燃料が装荷されて試運転に入ろうとしています。

 鹿内 いっしょの話なんだよね。原子力施設に関しては国も事業者もウソはつく、隠すで、まったく信用できない。それと、大間町のフルMOXの原発をふくめて皆からみ合っている。どこからでも核燃料サイクルの輪を切っていけば全体が崩せると思う。

 山田 全国の運動とも連携しつつ、それぞれのところで輪を切っていくことが全体の力になる運動をさらに進めていきましょう。
 ありがとうございました。

(文責=編集部)

Posted by 編集部 at 2005年01月14日 17:08