2004年01月22日

「風車」-第二八三号(二〇〇一年一〇月)

「風車」-第二八三号(二〇〇一年一〇月)

九月十一日、ニューヨークの世界貿易センタービルとワシントンの国防総省に、ハイジャックされた航空機が激突、破壊した。この米中枢テロの後、マスメディアの多くは「報復」の二文字に酔い、「次のテロの恐怖」を煽っている。

そんな中で、原発を標的とするテロの危険性も、格好の素材とされた。確かに、もし現実になれば、深刻な放射能災害が起こりうることは論をまたない。守りの薄いタービン建屋や核燃料輸送が襲われたら、などと想像するだにおぞましい。

国や電力会社は「想定外」と言うが、原子炉攻撃は実例があり、国連でたびたび禁止決議がなされている。原発や核燃料サイクル施設の周辺への自衛隊機などの墜落も頻発している。それでも安全審査では、原発上空の航行は規制されているとして、飛来物対策は無視されてきた。テロのこわさより、飛来物に対する原発の脆弱性が問題とされるべきだろう。脱原発が唯一の防止策である。

今回の事態は、テロ対策と称して、これまで以上に核管理社会化がおしすすめられる危険性こそを教えている。事件の前から取り沙汰されていた自衛隊による原発警備(自衛隊法「改正」案からは外されるらしいが)。そして、事件後すぐに始まった米原潜の入港情報の公表中止などの動き。「原子力帝国」(R・ユンク)を阻止するのは、今をおいてない。(N)

Posted by 編集部 at 17:42

「風車」-第二八二号(二〇〇一年九月)

「風車」-第二八二号(二〇〇一年九月)

経済産業省の本省ビルで使う電力の競争入札が八月十日に行なわれ、東京電力は今年も敗退。二年連続で落札したのは、三菱商事の子会社のダイヤモンドパワーだった。

応札を計画していたエネットが断念を強いられた新規参入の障壁の問題もあるが、それはさておくとしよう。いずれにせよ経産省は、また一年間、原発の電気を使わないことになった。その影響をめぐっての同省幹部とのやりとりを、日刊工業新聞の斉藤俊六論説主幹が『エネルギーレビュー』誌の八月号で紹介している。

幹部氏のいわく「当省が原発の電気を使わないと言われても、原発推進の方針に変わりはない」。とはいえ、「仮に、政府の官庁全てが電力会社以外からの電気を調達するようになっても、政府の方針通りに原発を推進することができるだろうか」との問いには、「支障が出るかもしれない」と答えた。

経産省はともあれ、原発専業の日本原子力発電にとっては、より切実である。同社は、本社費の削減のため、賃貸料が現在の半分のビルに移転しようとした。ところがこのビルはJRのビルで、自家発電設備から電力の供給を受けることがわかって計画を白紙に戻した、と八月七日付の日刊工業新聞は報じている。新たな内定でも、「今後も原子力電源を使うビルであることを念押しして正式契約」とか(笑)。(N)

Posted by 編集部 at 17:42

「風車」-第二八一号(二〇〇一年八月)

「風車」-第二八一号(二〇〇一年八月)

電気事業の部分自由化により、核燃料サイクル開発機構が初めて、もんじゅで使う電力の入札を行なった。八月一日からの一年契約だ。

ところが、応札はこれまで通りの北陸電力一社のみで、単独落札した。契約電力量が一万一千。

と大きく、しかもナトリウムの保温のため電気を使いっぱなしの超安定顧客。実においしい話のはずなのに何故? と七月十九日付の日刊工業新聞が首を傾げている。おまけに、もんじゅへの送電は関西電力の送電線を、北陸電力が使用料を払って使っており、関電が応札するなら、それだけ安く料金設定ができる。関電が応札しないのは、確かに謎である。

関西電力と言えば、謎がもう一つ。株価の低迷がすさまじい。電力会社の株価は、長年にわたって東京電力、関西電力、中部電力……と、会社の大きさ順に高い値がついていた。ところが昨年以来、関電は中電に抜かれたまま。今年六月末には一瞬、九州電力にも抜かれて話題になっていた。それが七月二十六日には何と、東京、中部、東北、九州の各電力に次ぐ第五位にまで転落したという。

関西経済の地盤沈下の反映だそうだが、それだけでは説明がつかず、さまざまな憶測が流れているらしい。その関西電力のもんじゅ電力応札見送り。もんじゅの先行きに信用がないのか、関電がおかしいのか。(N)

Posted by 編集部 at 17:42

「風車」-第二七八号(二〇〇一年五月)

「風車」-第二七八号(二〇〇一年五月)

世の中、わけのわからないことが多過ぎる。

京都議定書からのアメリカの脱退表明を受けて、四月九日付の電気新聞は「日本のエネルギー政策 揺らぐ土台」と言う。日本のエネルギー政策は、京都議定書で定められた温室効果ガスの一九九〇年比六%削減を前提としてきた。「その前提条件となる京都議定書が米の不参加で事実上骨抜きになれば、COP3を土台とするエネルギー政策自体の意義が揺らぎかねない」。

ちょっと待ってよ。アメリカが抜けるなら日本も無理をすることはない、温室効果ガス削減を前提としたエネルギー政策が揺らぐというのなら、地球温暖化防止とはいったい何なのか。もっとも、日本の温室効果ガス削減はもともと数字の辻褄合わせで、エネルギー起源の二酸化炭素削減はゼロ。増やさないというだけが、政策の前提条件だった。それも、エネルギーの使用量を増やしつつ、原発増設で達成するとか。始めから破綻が前提の政策だ。

電力需要が伸びなくて原発や火発の建設を延期、と電力会社が表明すれば、「原発建設の遅れで温室効果ガス削減に影響」と書くマスコミもわけがわからない。需要が減って原発も火発も建設されないのだから、温室効果ガスの排出量は明らかに減少するだろうに。

口先だけの温暖化防止がわけのわからぬ記事になる。それが悲しい。(N)

Posted by 編集部 at 17:41

「風車」-第二七七号(二〇〇一年四月)

「風車」-第二七七号(二〇〇一年四月)

世の中、わけのわからないことが多過ぎる。

福島県知事が原子力政策全体の見直しとプルサーマル計画の棚上げを求めたことに、三月二十六日付電気新聞のコラム「観測点」で、ボイドと名乗る匿名の筆者が、泡のごとく空虚な抗議をしている。「余剰プルトニウムを出さないようにするという国の政策に協力しているというのが、プルサーマル計画の本質のはず。とすれば、そっちの話は国とやってくれ』と同社が憤慨しても責められるものではない」。

同社とは、東京電力のこと。つまり電力会社こそが被害者だと言いたいらしい。「今のところ『大人の対応』に終始しているが、自由化の中で、いつまで我慢して地域の声や国の政策に付き合っていられるか」と、ボイド氏の啖呵は勇ましい。

それなら「いずれ」などと遠慮はせずに、今すぐ「大きく態度を変え」てはどうだろう。プルサーマル計画なんぞ放擲し、プルトニウムを生み出しつづけている原発を止めればいい。自らプルトニウムを増やしつづけながら、余剰を出さないのが国の政策とは、それこそまったくわけがわからない。

プルサーマルはリサイクルだという電力会社の宣伝は、もっと理解に苦しむ。核燃料は、手間隙かけてつくって、三%ほど使っただけでゴミとなる。リサイクルできるもできないも、もともと欠陥商品と呼ぶべきだろう。(N)

Posted by 編集部 at 17:40