2007年08月02日

住所が変わりました

(新住所)2007年5月~

反原発運動全国連絡会
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2005年01月14日

カレンダー2005-原発をめぐって起ころうとしていること

カレンダー2005-原発をめぐって起ころうとしていること

『はんげんぱつ新聞』322号(2005年1月)掲載

 1面記載のように、六ヶ所再処理工場では04年12月21日、試験としての意味を持たない単なる儀式として「ウラン試験開始」が強行された。実質的な試験開始は、05年1月中旬となる。「アクティブ試験」は12月からと計画されているが、その前に何としても止めたい。
 85年4月9日に青森県知事が核燃料サイクル施設の受け入れを決めてから20年目の年である。
 1月21日から始まる国会には、スソ切りの導入や核物質防護の強化などを内容とする原子炉等規制法「改正」案の上程が目論まれている。また、再処理準備金の拡充のための新法案も上程予定である(両法案については本紙前号3面参照)。スソ切りの導入は06年1月、核物質防護の強化と再処理準備金の拡充は05年10月施行の方針という。
 2月6日午後、東京・水道橋の全水道会館で反対集会をもつ。
 1月17日は阪神・淡路大震災から10年を数える日となる。原子力安全委員会原子力安全基準部会耐震指針検討分科会による耐震設計指針の見直しは、予定から大きく遅れ、今年に持ち越された。
 浜岡原発5号炉が1月に営業運転に入ると、日本で運転中の原発は53基となる。さらに7月には東通1号炉の営業運転入りも計画されている。
 2月16日に地球温暖化防止の京都議定書が発効し、政府は3月までに目標達成計画を策定する。原発頼みの数字合わせなどすでに破綻している地球温暖化対策推進大綱も改訂。11月には締結国会議が開かれる。
 2月末には中国で原発4基の国際入札が予定されており、三菱重工がウエスチングハウス、ベクテルと組んで参加の意向だ。
 2月に東京ガスが天然ガス使用の、3月に新日本石油がLPG使用の家庭用燃料電池を発売。
 3月17日、最高裁でもんじゅ訴訟の弁論が行なわれる(3面参照)。最高裁の判決も待たずにもんじゅ改造の了解を福井県知事に迫る動きもあるが、12月8日にはナトリウム漏洩・火災事故から10年を迎えるもんじゅを今さら動かそうとするのは妄執でしかない。
 3月末には、美浜3号炉11人死傷事故の最終報告が、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の事故調査委員会でまとめられる予定。福井県知事の懐柔策として04年12月16日に福井市で初会合を開いた同上部会の高経年化対策検討委員会は、3月末に中間取りまとめ、7~8月に最終報告を出すという。
 3月には「国民保護計画」の基本的考え方が閣議決定され、都道府県が策定する計画のモデルが提示される。原発や核燃料サイクル施設をもつ県では、攻撃時の避難などが課題となる。
 4月1日から電力小売り自由化の範囲が50kW以上の高圧需要家へと拡大される。振替料金が廃止され、卸電力取引所が誕生。電力・ガスの料金値下げ競争は激化し、原発はさらに窮地に立つ。
 4月には海上保安庁が柏崎刈羽原発に、全国初の「原発警備対策官」18人を配備する計画。
 8月6日。9日。被爆60年の今年は、核廃絶に舵を取る節目の年であるが、5月の核不拡散条約再検討会議では逆行の動きも懸念されている。
 9月には高レベル放射性廃棄物最終処分計画の新計画がつくられる。候補地に手をあげさせない運動が続くことになる。
 10月1日に、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合された「日本原子力研究開発機構」が発足。安全研究を後退させ開発に重点を置いた巨大機関の誕生には要警戒だ。
 この年、原子力研究開発利用長期計画の新計画がまとまる予定であり、ICRP(国際放射線防護委員会)からは新たな放射線防護システムが勧告される。プルサーマルや使用済み燃料貯蔵などをめぐる動きにも的確に対処していく必要がある。(編集部 西尾漠)

Posted by 編集部 at 17:09

悔しさをバネに希望を力に-六ヶ所再処理工場は必ず止める(座談会)

悔しさをバネに希望を力に-六ヶ所再処理工場は必ず止める(座談会)

『はんげんぱつ新聞』322号(2005年1月)掲載

菊川慶子(六ヶ所村、農業)
哘 清悦(天間林村、農業)
鹿内 博(青森市、青森県議)
山田清彦(三沢市議、本紙編集委員)

■青森でなく東京で決めた

 山田 今日が12月18日。明後日の20日には六ヶ所再処理工場に劣化ウランが搬入され、21日からウラン試験が強行開始されようとしています

 菊川 すごく悔しい。私たちの力不足というか、今まで十数年の運動をやってきて、最後の山場で崩されたという思いです。

 鹿内 いや、最後じゃないですよ。もう2山も3山もあると思う。事故が起きたら終わりだけど、そうさせずに止める山場がきっとある。

 哘 試験を始めたにしろ、もっと議論を高めて、少しでも早い段階で止める方向にもっていければいいですね。

 菊川 悔しさを止める力に変えないと。

 哘 手続き上で一番問題だと思うのは、「国民の理解を、県民の理解を」というのであれば、理解されたかどうか確認をする必要があるでしょうということです。使用済み燃料プールの水漏れのときにも、八戸会場の県主催の説明会で最後に質問に立って「会場の皆さん、今日の説明を聞いて理解できましたか? 理解できた人は手を挙げて下さい」って聞いたら、誰一人手が挙がらない。
 県が県民の理解度を確認しないというのは、確認するとまずい答が出てくるのが見えてるからです。

 山田 隣接市町村長からも慎重な意見が相次いだというのも、それぞれに背景がある。日本原燃にすごく不信感があるんです。本当に民意を汲んでいれば今、絶対に動かせる状況じゃないってことは、彼らもわかっていると思う。そこがキーになるのではないでしょうか。
 県もひどいけど、新原子力長期計画の策定会議の進め方も納得できませんね。再処理政策の継続だけを先に決めてしまった。

 菊川 スケジュールが先にあって、いろいろな手続きを進めていくだけとしか見えませんでした。

 鹿内 ウラン試験ゴーのスイッチを、青森でなく東京で押したわけだよね。メンバーの人選からして問題があったし、プルトニウムの需給計画も第二再処理工場の計画も、ないない尽くし。すべて先送りして、ただただ六ヶ所再処理工場を動かしたいという。
 そこにこそ青森県民の意思が反映されるべきなのに、県民の意見も国民の意見も反映されないまま、スイッチが押されてしまった。

■地雷の上に家を建てたいか

 菊川 とりあえずの結論としてはそうなってしまいましたが、アイリーン・スミスさんたちが策定会議の委員に働きかけて、いろんな疑問をもつ委員が少し出てきています。あきらめずに働きかけていけば、中間取りまとめじゃない最後の結論の前に、改めての議論ができるのでは。

 山田 その間にウラン試験でたくさんトラブルが出て大変だということになったら、結論は変わるかもしれない。トラブルの度に情報を逐一流していけば、委員にも責任があるわけだから。

 菊川 でも、日本原燃の側では、試験なんだから当たり前という開き直りがありますよね。トラブルがあってこそ正しい操業ができるそうです。

 鹿内 だけど、ウラン試験で起きたことが仮に小さなトラブルでも、同じことが使用済み燃料を実際に使うアクティブ試験で起きたら深刻だという場合もある。そうしたあたりを訴えていく山場が、やはりあると思う。

 ウラン試験のトラブルそのものに確実に対応しながら、アクテイブ試験の危険性を訴えて、その前に止めるという運動が必要でしょう。今まで以上に大変だけど。

 山田 私は、原燃のほうが困っていると思う。ここまで強行して、年始めから「やあ、トラブルで止まりましたか」とは言えないですよ。それは県だって同じです。

 哘 風評被害もありますし。農業者としてとても心配なのは、消費者の受け止め方なんですね。無農薬というので買ってくれているお客さんに、「ウラン試験が始まるけど、今まで通り買ってくれますか」って質問をしたら、二人の方から「それだったらお断わりします」と答えてきました。
 日本原燃の言い方としては「あなたがそういうふうに騒ぐので風評被害が広がる」って。でも「あなた方が説明しているように国民の理解を得ながら進めるというのをちゃんとやられていれば、こちらが騒いでも誰も買わないということはないでしょ」と、自分は答えています。
 農業者の立場で、この再処理工場とはと考えると、家で言えば土台というより、敷地なんだろうと思う。で、その敷地の中に、たとえば地雷が埋まっているのがわかりつつ、家を建てたいかという話なんです。

■長い目で見たら続くはずがない

 哘 反対している人が一部だという言い方をよくされるけど、推進している人こそ一部じゃないのかな。県のアンケートの結果でも8割以上の人が不安を感じているのに、「反対」と声を出さない人は推進のほうに数えちゃう。

 菊川 六ヶ所村の中でも、反対派は確かに少数ですけど、推進している人っていうのもまた少数です。大多数の人たちが無関心というところに問題がある。年配の人にはあきらめが見られる。若い人は始めから無関心。結婚すると、村内に勤め先があるのに周辺の市や町に出てしまう。でも、それはただ便利だから。潜在的には不安があるのでしょうが、そういう人たちにどう働きかけたらいいのか。

 山田 六ヶ所村も、今までは建設の仕事があったけど、これからはなくなる。あっても被曝作業ですよね。

 菊川 村の中で再処理工場の操業を急いでほしいと言っているのは、クリーニング屋さんとかです。放射性物質の取り扱いなんかお金をかけて教育してお給料を払って、操業が延びている間、ただ待機させているんですから。

 鹿内 仮に操業に入っても、東海の再処理工場がそうだったように事故って1年2年動かないとなれば、クリーニング屋さんも倒産だよね。

 菊川 「公には言えないけど、最終処分場でも何でもいいから、とにかく仕事がほしい」と言っている人までいます。本当に長い目で見たら続くはずがないとはわかっている。経済的な裏付けで私たちが商工会の人たちに信用を得られれば、考え直す余地は十分にあるんです。

■個々の運動を全体の力に

 菊川 国民的な議論が全然ないというところが問題なのですけど、とりあえず村の中で議論を起こすように働きかけをしようって考えています。六ヶ所村の商工会青年部の人たちと、私や哘さんも入って5人が反対派で「一緒に原子力を考える会」というのをつくっているんです。青年部とは反対の立場ですけど、この中で議論を起こそうと。それと、チューリップの栽培をしていますが、運動の中で夢を与える植物づくりを広げて、六ヶ所村にいろんな人たちの関心を集めたい。

 鹿内 六ヶ所村の良さ、青森県の良さを表に出せば出すほど、再処理工場が危険なものだってことがよくわかると思うんだよね。私たちの目的は施設をなくすことだけではなくて、地域を豊かな良い地域にすることなんですね。

 哘 そのときに「安心して暮らす」というのはどうなんだ、ということですよ。

 山田 原発とか再処理工場とかの上に成り立つ安心で良い生活はない。それが既にはっきり自治体の考えにも出てきているのが、福島県とか、茨城県、東海村とかでしょう。
 ところで我々は今まで、六ヶ所村の再処理を中心とした核燃料サイクル施設とか、むつ市の使用済み燃料「中間」貯蔵施設とかばかりに目を向けてきたんですが、24日から東通原発に燃料が装荷されて試運転に入ろうとしています。

 鹿内 いっしょの話なんだよね。原子力施設に関しては国も事業者もウソはつく、隠すで、まったく信用できない。それと、大間町のフルMOXの原発をふくめて皆からみ合っている。どこからでも核燃料サイクルの輪を切っていけば全体が崩せると思う。

 山田 全国の運動とも連携しつつ、それぞれのところで輪を切っていくことが全体の力になる運動をさらに進めていきましょう。
 ありがとうございました。

(文責=編集部)

Posted by 編集部 at 17:08

2004年02月14日

反原発講座スペシャル「反劣化ウラン弾と反原発」

『はんげんぱつ新聞』311号(2004年2月)

反原発講座スペシャル

反劣化ウラン弾と反原発

藤田祐幸さん(慶應義塾大学)に聞く

--劣化ウラン弾については、もう七年も前の「講座」で取り上げたきりです。気にはなりながら、うまく扱えずにきてしまいました。今日は、反原発運動にとっての劣化ウラン弾問題の意味についてお話をうかがえればありがたいのですが。それとも、そういう問題の立て方をしないほうがいいのか……

●いや、そんなことはありませんよ。本質だと思っていることは二つあって、一つは、原子力問題とはつまるところ被曝問題なんですね。その意味で、原発の被曝問題と劣化ウラン弾の被曝問題を分断して一方を無視するようなことがあってはいけない。

もう一つは、劣化ウラン弾の出生と言いましょうか、原発の燃料製造の過程における廃棄物だという点ですね。日本の原発の燃料ウランの大半はアメリカの濃縮工場で濃縮をしてもらっている。そこで生まれた廃棄物が劣化ウランです。

つまり、天然ウランに〇・七二%ふくまれているウラン-235が〇・二%に減って劣化した「廃品ウラン」ですね。これは要らないものだからとして、所有権を無償で濃縮工場側に移転している。そうやって濃縮工場に貯め込まれた劣化ウランの一部が砲弾になったり、戦車の装甲になったり、飛行機の重りになったりしているわけです。金属ウランは重くて硬くて、何といってもお金がかからないものですから。

その意味で、日本の原子力発電とイラクなどでの劣化ウラン弾による被曝とは一つながりだということです。

--かつては大量の核兵器用ウランの濃縮をしていましたから、その劣化ウランも使われているんでしょうが。

●実態は不明です。軍事用と原発用とで分けてあるわけではないでしょう。

--もちろん劣化ウラン弾がつくられるから原発に反対するとかじゃなくて、同じ被曝問題として原発にも劣化ウラン弾の製造・使用にも反対だと。

●そうですね。

イラクでの調査

 --イラクを訪問されたのは、昨年の夏前でしたっけ?

●五月下旬から六月はじめにかけてですね。ガンマ線の測定器を使っていろんな場所の放射線強度を測定し、被弾した戦車の内側などを濾紙で拭き取った試料と、製氷工場で採取した粒状の試料を持ち帰りました。劣化ウラン弾やその残骸が至るところで見つかり、撮影してきました。

戦車の装甲が、撃ち抜かれたり、まるでバターをナイフで切ったように切り裂かれていたりしているんですが、砲弾が通過した穴や戦車の内部、製氷工場の屋根を貫通し床にあけられた穴の付近では、自然放射線の数倍、数十倍の強度でしたね。

持ち帰った試料を金沢大学の小村和久さんに測定してもらったところ、ウラン-235が見事に〇・二%でした。文句なしに濃縮工場で発生した劣化ウランですよ。

--よそでは、プルトニウムの入ったものも見つかっているとか。

●劣化ウランだけでなしに、軍事用のガス冷却炉の燃料を再処理した後の回収ウランも一部使われているんでしょう。でも、割合としてはごく少ないと思います。

--前にコソボとかにも行かれていますが、その時と違うのは、今回は劣化ウラン弾がそこいら中に転がっていたことだと報告されていますよね。

●一九九九年と二〇〇〇年にコソボをはじめ、セルビア、ボスニアで調査をしたんですが、その時は簡単には見つからなかった。今回は大量に見つかっています。それだけふつうの兵器として使われているんでしょう。

--でも、日本政府は認めない。アメリカに問い合わせたけど答えてくれないから、使われたかどうかは確認できない、と。

 ●アメリカ政府も日本政府も、政治的には認めませんね。それと、今回の調査ではっきりしたのは、米軍だけではなくて、イギリス軍も派手に劣化ウラン弾を使ったということです。

被害の実態は?

--劣化ウラン弾が使われたことによる被害の実態というのは、なかなか難しい問題ですが。

●影響としては、主に三種類あると思うんですよ。まず戦車に当たって燃えて酸化物の微粒子になる場合。それを吸入した時の影響が問題になります。第二に、金属ウランがそのままの状態で放置される場合。皮膚に直接触れた時のベータ線被曝を考慮する必要があります。

--最大の問題と考えられているのは、微粒子の吸入ですよね。

●いや、実は僕がいちばん深刻に考えているのは、三つ目の地下に撃ち込まれた場合です。地中のウランが酸素をふくむ水と反応して、水溶性となって土壌と地下水を汚染する。子どもたちが土を手でいじるといった心配もあります。さらに、生態系に取り込まれて、長期にわたって影響を与えつづける可能性が高いと思います。

--現実に被害が出ていることは事実で、劣化ウラン弾が使われたのも事実です。劣化ウランに放射能毒性と化学毒性があるのも事実だけれど、それぞれの事実の間をいままでの科学的知識で必ずしもつなげないということがあります。だから因果関係はないと言うのは明らかに誤りですが、強引に「科学的」理屈づけをするのには抵抗があります。

●確かにいろいろ言う人がいますが、データの間違いもあると思う。むしろわからないことが当たり前なんです。被曝の歴史自身が半世紀しかないんですから。そのなかで広島・長崎の被曝の影響と、チェルノブイリと、JCOと、みんな違う。特にアルファ微粒子による内部被曝というのは、ほとんど未経験ゾーンと言っていいでしょう。無理に理屈をつけるより、まずはきちんと現実を見るべきです。

おまけに重金属としての化学毒性との複合被曝なわけですから。そう考えればバスラの病院で僕が見た子どもたちの症状も理解できるんですね。

--他の化学物質との複合効果だって考えられます。調査もまだ十分でないわけですが、そもそも因果関係がはっきりするようになったら、それこそ被害が拡大するいっぽうということで、そうなって欲しくない。

●新しい被曝なんだ、未知の被曝なんだと思うんです。だからこそ予防原則が大事なんですよ。

実は僕も、現場で子どもたちと会うまではそんなにせっぱ詰まった思いはなかったんですけど、子どもたちと会ってしまってからはね。

私たちに何ができるか

--製造や使用をとめなくちゃいけないし、これ以上被害をひろげないようにしなくちゃいけない。では、私たちに何ができるのか。

●禁止条約とかの国際的な運動がありますので、それに協力していくことが考えられます。

さしあたりすぐに必要なのは、被害者の医療と、劣化ウラン弾の回収ですね。地上に散乱している分は早急な回収が可能でしょう。と言っても、それが民間の工場の床なんかにまでゴロゴロあるわけです。本当に至るところにあるので、それはそれで大変ですね。

それと、僕が重視しているのは、前にも言ったとおり、撃ち込まれて地下にあるものです。今なら掘れば弾丸の形で回収できますけど、五年もすればどうなってしまうか。二〇〇〇年にセルビアに行った時、地下から一年後に掘り出したのを見せてもらったんです。太さが半分近くにやせてしまってましたね。

将来世代に対しての責任の取り方としては本来、深さ二㍍までの土を全部掘り返してでもと思います。せめて集中的に撃たれた場所だけでも土壌を取り除く必要があります。

それとやはり、日本の劣化ウランに対する監視体制を強めることですね。日本の劣化ウランがどうなっているのか、どうなるのか。所有権を放棄していれば責任はないのか。

--日本国内で濃縮した際の劣化ウランの所有権はどうしているんでしょう?

●さぁ。調べてみないといけないですね。

--廃棄物については、電力会社か濃縮工場か、どちらが責任を持つか、未だに決められていません。同じくあいまいにされているのかも。

●人形峠で劣化ウランを見てきましたけど、48Yシリンダーという輸送用の容器に詰めたまま、プレハブの小屋の中に積み上げてありました。

--六フッ化ウランで貯めていますよね。

●たいへん不安定な扱いですね。

--六ヶ所ではもう人形峠の倍以上の劣化ウランを貯め込んでいます。二〇〇二年度末で約六千七百トンになるとか。「将来高速増殖炉等で利用する見込み」と言うんですが。

●現実的には見込みゼロです。要するにごみですよ。廃棄物問題としてきちんと認識する必要があると思います。

--その通りですね。ありがとうございました。

(聞き手=編集部 西尾漠)

Posted by 編集部 at 12:20

2004年01月16日

座談会「私たちは次に何ができるか」『はんげんぱつ新聞』310号(2004年1月)


私たちは次に何ができるか
-「原発のある社会」を終わらせるために

『はんげんぱつ新聞』310号(2004年1月)

飯田哲也(環境エネルギー政策研究所
鈴木かずえ(グリーンピース・ジャパン
畑直之(気候ネットワーク
武本和幸(刈羽村を守る会/反原発運動全国連絡会

原発の化けの皮がはがされた

 武本
 柏崎刈羽で原発の問題が始まって三十五年くらいになります。いろんなことがありましたが、ここ数年というのは、かつての十年分もの変化が毎年起こっている気がします。昨年(二〇〇三年)で言えば、珠洲原発計画を電力会社が断念したというのが、一つの締めくくりになりました。その前に、東京電力の原発の圧力抑制プールでの異物混入があり、さらにさかのぼれば、前の年のトラブル隠し発覚から東京電力の原発が一時は全部止まって、冷夏のせいがあるにせよ、原発なしでも必要な電気は供給できるという事実が明らかになりました。

 後始末の費用が十九兆円になると電気事業連合会の試算が公表されて、それ自体が過小評価だという点はともかく、全体として、原子力発電が安いというウソも、きちんと管理されているというウソも、電力の安定供給というウソも、すべて化けの皮がはがされたわけです。そんななかで私たちとしては次に何ができるかという議論ができるとよいのですが……。

 飯田
 おっしゃられたように、いろんな側面で今、変化が出ている。原子力だけじゃなくて、右傾化とか保守化とか言われているものも、皆いっしょですよね。日本全体が流動期に入っていて、変化のマグマがあちこちで噴き出ている感じです。

 問題は、古いしくみを守ろうとしている人たちが、未来に対する明るい展望をもっていなくて、被害者意識しかないことです。まずいことに、ビジョンはないけど金と権限はあるから、ともかく抑え込もうとしたり、捨鉢というか、とんでもない方向に変えようとしている。そういう意味で、今はどちらの方向に向かうかという重大な局面ですね。

 鈴木
 十二月にグリーンピース・フランスが、EPR(欧州加圧水型炉)の実証炉の建設計画が具体化しようとしているのに対抗する報告書を出しました。EPRの建設費を風力発電に投資したら、雇用は五倍、発電電力量は二・三倍としています。十九兆円という後始末費用が正しいかどうかはともかく、その額を風力発電なり太陽光発電なりに投資したら、どれくらいの電気がつくれるのか、どのくらいの雇用が地域で現実のものになるのか--そういったことを試算して発表できたらいいですね。

放射能も温暖化もない未来を

 
 原発の問題の一つは、「地球温暖化防止」を推進の看板に使っていることです。

 私たちは、放射能も温暖化もない未来をめざしているんですが、温暖化防止については、京都議定書の批准がなかなか進まない中で「だったら日本も無理しなくていいんじゃないの」みたいな声が市民権を得てきています。それでも原発のほうは、もともと原発推進のために温暖化防止を理由づけとしているだけで本気じゃないから、そこは知らんふりして原発推進の看板はおろさないんじゃないでしょうか。

 武本
 原発が止まったぶん、東京電力では二酸化炭素の排出量が増えたといった宣伝は、相変わらずつづいていますしね。

 飯田
 とはいえ、現実に原発を増やせないことも確かですから、余り大きな声で「原発推進で温暖化防止を」と言うと、逆効果になりかねない。

 長期エネルギー需給見通しの改訂作業が十二月から始まりましたが、環境の位置付けをだいぶ下げるようです。今度の見通しは二〇一〇年と二〇三〇年を目標年にするので、二〇一〇年はそれこそ京都議定書を無視したような現状維持シナリオが出るでしょう。二〇三〇年は「水素社会」。アメリカと同じで、根拠もなしにいい加減な絵を描くんだと思います。

 武本
 今年は原子力委員会のほうでも原子力長期計画の見直しが行なわれることになっていて、そこでやはり「水素社会」と言い出すようです。原子力で水素をつくります、と。

 鈴木
 何もそこまでむりして原子力を使わなくてもいいのにね。

 
 長期エネルギー需給見通しの議論では、産業界の委員から「原発の見通しがいちばん外れているのだから、もっと現実的なものにすべきだ」と発言がありました。もともと経済産業省の考え方というのは、原発と石炭を両方増やすというもので、それによってCO排出量の帳尻を合わせるというものです。

 原発の見通しを現実的にするとなると、原発は建たないけど石炭火発のほうは計画通りできてしまっているので、CO削減のために「もっと省エネを」とか「自然エネルギーを」とかいうことになることが期待されます。

 武本
 原発は増やせないから、設備利用率を上げて辻つまを合わせよう、と経済産業省では考えています。電力会社も、経済的な理由で、そうしたい。ところが、地元から出てきた声は「定期検査の短縮は困る」と言うんです。地元に落ちる金が少なくなるからなんですね。そんな矛盾もでてきている。

リスクを回避できる道がある

 武本
 一昨年八月の東京電力の不正発覚の前は、国と電力会社がいて、その言いなりになる県・市町村がいて、対極に反対運動があった。それが県・市町村はちょっと国・電力と距離を置き始めました。国と電力会社の間でも、本音ではもう原発をつくりたくないというのが出てきている。珠洲の話は、それが端的に出たのだと思います。

 鈴木
 有害物質の使用なんかでも、政府の規制はヨーロッパよりずっと遅れているけど、企業の側は先取りをして不使用物質のリストとかをつくったりしている。そのほうが得だというのを敏感に見ているんですね。電力の世界も、やはり企業の側が先に変わっていくと思うんですよね。

 飯田
 消費者が目の前にいる企業のほうが、対応は早いんですね。電力会社は、いままでは国のほうばかり向いていて、消費者が見えていなかったんですが、自由化という形で消費者が現われた。それと株式市場や金融市場の意味も自由化で変わってきました。原発への投資が難しいのは確かだと思います。

 鈴木
 さっきの話に戻りますけど、政府って、国民を追い詰めるような宣伝の仕方をするじゃないですか。「原発をつくらないと温暖化になっちゃうよ」とか。リスクとリスクを並べて「どっちがいい?」って言うのはおかしいですよね。

 
 それも、どっちがいいかは彼らのほうで決めてしまっているんですよね。

放射能のほうがCOよりこわくないと。

 鈴木
 暗い人たちだなって思いますね。私たちは、「リスクを回避できる道が、ここにあるんだよ」って見せていけたらいい。

 武本
 原発がよくないことは皆わかっているけど、ここまで来て簡単に軌道修正できないというのが、原発の立地した地域の共通した意識だと思うんです。だから、ちゃんと軌道修正できる道が示せたら、変われると思う。

 飯田
 実質的な変化は、地域地域で起こしていくのがいいのかな、と思います。

 鈴木
 去年の夏に東京電力の人たちが「節電のお願い」で企業をまわったときも、すごく協力的だったっていうんですよ。やっぱり皆、原発なんてないほうがいいと思っているんじゃないですか。

 
 「早く再開しろ」とか言う人は、いなかったんですか。

 鈴木
 いなかったみたいですけどね。グリーンピースが東電の人を招いて開いた需給調整契約の説明会でも、参加者が「原発がなくてよいようにするには、どれくらいの省エネをしたらいいんですか。ただ『省エネをしてください』じゃなく具体的に数字で教えてくれたら、できるようにしたい」って迫っていました。

 
 エネルギー消費を下げると言うとすぐ「現実的じゃない」と反論されるけど、「原発二十基増設」ほど非現実的なものもない。霞が関における「現実的」という言葉のほうがよほど「非現実的」ですよ。

 武本
 それでも珠洲の計画断念のあとの経済産業省の大臣官房のコメントで「供給力を増やし量を賄うより、この先は需給の質を高めることにシフトする」とかいうのがありました。原発こそが安定供給を脅かすことは、昨夏ではっきりしたわけです。

 
 はじめに今度の長期エネルギー需給見通しでは原発が抑えられそうとお話ししましたが、抵抗勢力ががんばるかもしれない。でも、それで議論になればしめたものですね。いままで議論にもなっていなかったんですから。

 飯田
 そこで日本のNGOサイドでは、政府の見通しが余りに非現実的なので、ほんとうの意味で現実的な、そして希望のもてるシナリオを共同でつくろうということで、作成中です。政府側に合わせて二〇一〇年と二〇三〇年をにらんだシナリオをつくります。

 鈴木
 二〇三〇年というと自分が生きていないかもしれない人がいっぱいいて、責任があいまいになるので、責任のとれる設定にしてほしいですよね。

 飯田
 でも、逆に、そこにどういう絵を描けるかで哲学が問われるんだとも思いますね。イギリスの『エネルギー白書』では、二〇五〇年を目標年度にCOを一九九七年比で六〇%削減する、七〇%でも可能だとしていますし、ドイツの政府諮問委員会の報告書では、世界全体で二〇五〇年までに三〇%削減という目標を示している。途上国で増える分を先進国が大きく減らすことで全体的に削減していくというものです。

 日本政府の政策は、中国と石油の取り合いになるとか、非常に下品ですね。やはり東アジアと共通の基盤に立って、いままでたくさんのエネルギーを使ってきた日本は最も率先した省エネ政策をとるといった、恥ずかしくないシナリオをつくりたいですね。

 武本
 かなりの人が、原発に限らず、日本社会の現状はおかしいと思っている。それに代わる社会の全体像が示せたらいいですね。

人間一人ひとりの視点から

 鈴木
 省エネっていうのは、何も大ガマン大会ではないんですよね。利便性は保ったまま効率を高めて需要だけ減らしていける。

 飯田
 昨年策定されたエネルギー基本計画は典型的な上から下へのエネルギー政策ですが、そうでなく下からつくりあげていくことが大事です。効率化についても、その方向性が必要だと思うんですよ。石油換算何キロリットルの価値だけで見るのではなく、人間一人ひとりの暮らしの基本が満たされるということをもとにね。

 特に日本は暖房がひどいですから、熱の使い方も考えてエネルギーの大量消費をせずにもっと質感の高い暮らしができるようにしたい。

 
 COを六%削減するなんていうのは、少しも難しいことではありません。エネルギーの利用効率を高める技術は十分にあるので、要は政策の問題なんですね。その先のところで先進国は七〇%削減しないといけないとなったら確かに簡単ではないでしょうが、そうした先まで見越していまからきちんと準備していけば、決して不可能なことではないと思いますね。

 武本
 地元にはまだ原発がありますから、事故を起こさせないように緊張関係を保っていくことが最大の仕事だろうし、少しでも早くとめられるように、自治体の首長や議員という、いちばん身近な選挙で地域を変えていきたい。

 方向としては確実に未来が見えてきました。好機を活かせるよう進んでいきましょう。

(03年12月15日、環境エネルギー政策研究所にて収録)

Posted by 編集部 at 13:03