2007年10月24日

「風車」『はんげんぱつ新聞』355号(2007年10月)

「発受電総計毎時間実績」というデータがある。いや、あったというべきか。今はもう見ることができなくなってしまったからだ。

毎日毎時間の各電力会社の発電+他社からの受電の実績を月ごとにまとめたものである。これを見ると、夏の電力需要のピーク時でも、早朝には昼間の半分以下の需要となることがよくわかった。日曜や盆休みの朝には月間最大時の3分の1にもなる。

ある電力関連組織の資料室にあって、閲覧のみでコピーができなかったから、1社で1月31日掛ける24時間分の数字をひたすら書き写してきて、貴重な資料としていた。

それが突然、データの載っていた『月報』が廃刊となったという。仕方なく国会議員の調査権で同様のデータを請求してもらって入手した。ところがそれも翌年には「そうしたデータ自体をつくらなくしたから」と出なくなった。理由は「電気事業が自由化されたから」だという。

そう言えば中部電力から発表されていた正月の朝の最低需要の数値が同じ理由で04年から公表されなくなったとの新聞記事があった。「電力自由化に伴い、余剰電力の参考になるデータの公表は営業上不利益になる」のだとか(04年1月10日付朝日新聞名古屋本社版)。

実はその数値はまだ別ルートで手に入るが……と書くと来年には駄目になるかもしれないなあ。

Posted by 編集部 at 20:38

2007年09月21日

「風車」354号(2007.9)

 『エネルギーフォーラム』8月号が「原子力立国に『死角』はないか!?」と特集を組んでいる。そのなかで日本エネルギー経済研究所戦略・産業ユニットの村上朋子原子力グループリーダーが「『日の丸原子力』に勝算はあるか?」を論じていてなかなかに興味深い。

小見出しを順に並べていくと「原子力『回帰』の風潮は高まるが…」「『市場は拡大する』は信じられるか?」「原子力新設を見る厳しい目」「投資は原子力よりも再生可能エネへ」と続き、「着実にものづくり技術を継承すべき」と締めくくられる。ことわるまでもなく原子力に批判的な論文ではなく、実体の疑わしいムードに流されるなという現実的な提言だ。

「日本のプラントメーカーが予測するほどには世界の原子力市場は拡大せず、仮にしたとしても日本のメーカーが入る余地はそれほど多くはないだろうと推定せざるを得ない」ことを冷静に論証した同論文から電気新聞の連載「興隆――動き出す米国原子力市場」に目を移すと、タイトルに反して「十分な融資保証がなければ原子力プラントをつくらない」との米電力会社首脳の発言が紹介され(8月20日付)、様々な課題の山積で「市場の行方次第で日本企業は潤いもすれば打撃も受ける」とあった(同22日付)。

興隆ムードで跳ね上がったウラン価格も、下落に転じている。

Posted by 編集部 at 00:28

2007年09月09日

「風車」353号(2007.7)

「露、原発爆発!?住民パニック」――5月23日付産経新聞の記事の見出しだ。そんな記事があると6月25日付電気新聞のコラムで教えられ、図書館でコピーをしてきた。

 ボルゴドンスク(ロストフ)原発で爆発が起きたとの噂が5月19日以降、インターネットや人づてで流れ、非常事態当局には20日だけで30万件の電話が殺到したという。「当局が否定するに従って『国が否定する噂には根拠がある』とパニックに輪をかけた」との説明が興味深い。電気新聞のコラムの筆者ならずとも心配にもなろうというものである。

 コラム筆者は言う。「今、日本の原子力は疑心暗鬼が横行しているから、発電所は荒波の中の小船のように噂の波に翻弄されるにちがいない」と。国や電力会社が否定すればするほど、むしろ信憑性ありとパニックに輪がかかるとしたら、言うまでもなくそれは、昨今の、いや原発が動き出して以来の歴史と共にあるデータ改竄・捏造・偽装・隠蔽が育んだものだろう。「疑心暗鬼」といった独りよがりな高の括り方が、その根底にある。

噂ですらパニックを起こす。カンボジアでの「放射性廃棄物放置」の噂(1998年12月)では、避難する住民による交通事故や抗議デモと警察の衝突などで死者まで出た。国も電力会社も信用できない中で原発で本当に大事故が起きたら……。

Posted by 編集部 at 17:02

「風車」352号(2007.6)

 原発解体廃棄物のクリアランスが、とうとう現実のものとなった。日本原子力発電が5月31日に発表したところによると、施設外への搬出は6月6日からという。

 搬出されるのは、東海原発の解体で発生した燃料取替機などの炭素鋼の一部。まずは鋳造メーカーに送られ、加工されることになる。続いて電炉メーカーへの搬出が関係先との調整中だ。

 用途としては、鋳造品では「応接テーブル、ベンチ、ブロック、原子力関連施設の遮へい体」、電炉製造品では「原子力関連施設の建設工事で使用する鉄筋」が挙げられており、再利用先は日本原子力発電と原子力関係機関が「当面の候補」とされる。電力会社などで交渉のテーブルにつくと、それが再利用品だったりするかもしれない。制度が「定着」すれば、再利用先はまったく無制限となる。

「放射性物質として扱う必要がない」とクリアランスをするための放射能濃度測定は、新たに開発された収納容器を用いて、およそ1トン分を1度にできるといい、測定時間は約12分と資料にあるが、06年10月18日付の電気新聞では「約5~6分かけて」とか。それが実際らしい。微量とされる放射能の測定としては、何とも安直だ。

 加工に当たる鉄工所で他のスクラップと混ざらない保証もなさそうで、疑問だらけの強引なスタートである。

Posted by 編集部 at 17:01