2010年12月22日

「風車」『はんげんぱつ新聞』393(2010年12月)

某所で文部科学省核不拡散・保障措置室の木村直人室長の話を聞いた。同室は「原子力開発を推進している部署」との自己紹介だった。なるほど、ダブルチェックの際に平和利用の担保が原子力委員会の所掌とされているのは、それが「原子力開発を推進していく」ためのものだからか、と納得した。
いや、納得してはいけないのではないか。核不拡散・保障措置と安全の確保は、切り離して考えることではない。とすれば、平和利用の担保も、原子力安全委員会の役割とするほうが望ましい。前号の「反原発講座」で原子力安全・保安院の分離独立が論じられているが、この点も議論の俎上に乗せられて然るべきと思う。
しかし、そうなると、そもそも原子力委員会は必要なのかとの疑問が生じる。故有澤廣巳もと原子力委員長代理によれば、「平和利用の番人」が同委の唯一の存在理由だとか。その価値は、だいぶ磨り減ってきている。
「平和利用の番人」とは、日本が核兵器を持たなければよいという意味ではなかろう。各国との原子力協力協定の締結交渉をみると、原子力委員会はまったく蚊帳の内に入れてもらえないらしい。果たしてそれで「番人」がつとまるのだろうか。
原子力安全委員会なり新たな規制委員会なりに所掌を移すとともに、政府に対するまっとうな発言力が持てるよう、ぜひ求めたい。

Posted by 編集部 at 16:39

2010年11月22日

「風車」『はんげんぱつ新聞』392(2010年11月)

 10月7、8の両日、原子力安全・保安院主催の原子力安全規制情報会議とやらをのぞいてきた。テクニカルセッションのひとつが「高レベル放射性廃棄物処分の安全規制に関わる基盤確保について」。
どこがどうテーマに関わるか不明だが、「エネルギー関連分野にかかわりのある女性たち」が会長だというウイメンズ・エナジー・ネットワークの浅田浄江代表が「一般市民への情報提供について」発表した。首都圏の女性を対象にしたアンケート調査の結果を紹介、「フィンランドでは地域住民の理解も得た上で処分場の準備が進められていることをほとんどの人が知らない」と嘆いた浅田代表。「処分場の候補を国が決めた上で、地域住民の理解を得るための努力をすべき」に半数の人が同意した結果について参加者から「公募が基本なのに、その賛否は聞いていないのか」と質問されていわく「公募が基本だとは知らなかった」。
話は変わって10月16日、原子力発電環境整備機構(NUMO)は、浅越ゴエさんらの芸人をゲストに都内で「いま、考えよう!放射性廃棄物の地層処分」を開催した。それを報じた19日付電気新聞の記事の結び。「浅越さんは『“捨てる”ということではなく“管理する”ことだとわかった』と話していた」。
電気新聞もやはり地層処分とは何かを知らなかった?

Posted by 編集部 at 17:35

2010年09月16日

「風車」『はんげんぱつ新聞』390(2010年9月)

 上関1号の原子炉設置許可申請については、7月号の「反原発講座」で木原省治さんが批判を展開してくれている。それとは別に気になったことを、書いておこう。
使用済燃料の処分の方法は、その売渡し、貸付け、返還等の相手方及びその方法又はその廃棄の方法を記載するよう、法は求めている。上関1号の申請の記述は、こうだ。
「使用済燃料は、国内の再処理事業者において再処理を行うことを原則とし、再処理されるまでの間、適切に貯蔵・管理する。再処理の委託先の確定は、燃料の炉内装荷前までに行い、政府の確認を受けることとする。ただし、燃料の炉内装荷前までに政府に確認を受けた場合、再処理の委託先については、搬出前までに政府の確認を受けることとする。海外において、再処理を行う場合は、これによって得られるプルトニウムは、国内に持ち帰ることとする。また、再処理によって得られるプルトニウムを海外に移転しようとするときには、政府の承認を受けることとする」って、これではそれこそ何でもありではないか。
以前は申請時に委託先を明記することが強いられ、「東海再処理工場」と書いても「容量が足りない」とつき返されたりしたとか。まさに隔世の感。さて、この違いはいかなる意図によるものなるや。

Posted by 編集部 at 14:51

2010年04月26日

「風車」『はんげんぱつ新聞』385(2010年4月)

「政府は、経済産業省の特別の機関である原子力安全・保安院を内閣府に移管して、原子力推進行政を担う経済産業省から組織上分離する方向で検討を開始する」――02年10月11日付の電気新聞は、1面トップ記事でこう報じた。
しかし、たちまち有耶無耶となって政権交代後の今年3月30日、同紙は「保安院分離で議論開始の方針」と、1段見出しの小さな記事を載せている。29日の政務3役会議後、経産省の増子輝彦副大臣が、公式に議論を始める方針を改めて表明したのだそうだ。「同副大臣は『いまのダブルチェック体制でもいいだろうと思っている』と指摘したうえで、『(保安院)分理論に前向きということではなく、議論することに前向きということ』と説明した」らしい。
02年は青森県知事の要求、今回は福島県知事の要求にこたえたものだが、その場しのぎの感は免れない。原子力安全・保安院は01年1月に発足し、今年で10年目となる。昨年7月には「原子力安全・保安院の使命と行動計画」をまとめ、「引き続き、その実効的な独立性を維持するとともに強化する」と宣言した。「経済産業大臣の権限の下」ではあるものの「実効的な独立性を持つ」というのがミソのようだ。
何ともご立派な居直りである。元福島県議の副大臣は、本当にそれでいいのだろうか。

Posted by 編集部 at 15:06